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「刀剣乱舞」シナリオ担当・芝村裕吏が語るキャラクター設定とは

様々なコンテンツを「文化史」という枠組を用いて研究するコンテンツ文化史学会は、2015年第1回例会「歴史的遺物とコンテンツ」を日野市東部会館で行った。

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■ 2000人に取材して導き出した刀の価値観

話はシナリオやゲーム性に移行します。「戦略として他のコンテンツと差別化しなければなりませんが、そのために不誠実な態度をとるわけにいかない。先祖代々伝わる刀などは、今それを受け継ぐ子孫や、関係者の方に悲しい思いをさせたくないので、誠実な態度で作りました」と語ります。
刀剣の中には「焼身」になってしまったものもあります。これをゲームではどう扱うか、芝村氏も悩んだそうですが、「たとえ焼けていても物語で評価しようと思いました。一般的な美術的価値でレーティングをすれば焼身は価値が下がりますが、どう扱われてきたかで判断した」そうです。

また、刀剣の価値観の再構築に至った背景には実に2000人以上の関係者を取材した実績があるとのこと。関係者たちの思い入れを受け止めて、加点方式で刀剣と向き合ってきたのだとか。
「近代の名刀はアメリカに渡ってしまっているんです。でもできるだけ時代の偏りなく取り上げたいと考えています」と芝村氏。実はすでに「うちの刀を使って下さい」というお願いも来ているそうです。「町おこしの材料としてわが町の刀も!という声があり、なるべく拾ってあげたいという気持ちはあります。現状古今時代の刀剣が実装できていないので、順番になりますね」と語りました。

■ 新選組とコンテンツとの関係

次に新撰組史料の専門家である松下尚氏が新選組とコンテンツの関係について分析しました。刀剣乱舞では近藤勇、土方歳三、沖田総司が持っていたとされる刀が実装されています。
「新選組ファンの99%は創作から入ってくる。史実に近いと思われている創作物が実は一番史実から遠い場合もあるで、創作の中ではランク付けはしたくない」と松下氏。「今回は刀がテーマですが、そこについてくるエピソードが本当かは別。有名だから史実と鵜呑みにせず、固まったイメージを持たずに接してほしい」と語ります。

日野市立新選組ふるさと歴史館では『刀剣乱舞』の流行による客層の変化はあったか?の質問に対し、「刀剣がないので恩恵は受けていませんが、平成22年、25年に来場者アンケートを取ったところ、75%が女性でほとんどが30代以下でした。新選組はもともと『燃えよ剣』の頃から女性ファンがメインです」と松下氏。その理由の一つとしてイケメンな写真が残されている土方歳三を挙げ、「新選組はイケメンの集団ではないと理性ではわかっているけど、そうであってほしいという気持ちがあるのではないか」と分析します。コンテンツが影響し、新選組のキャラクターも日々進化しているのだと語りました。

[/INSIDE より転載記事]
《みかめ@INSIDE/inside-games.jp》
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