朗読×劇「ほしのこえ」時空で2人の想いが交錯、新しい試みにあふれる野心作 | アニメ!アニメ!

朗読×劇「ほしのこえ」時空で2人の想いが交錯、新しい試みにあふれる野心作

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義  ■ ひとつひとつの言葉に込められた想いを表現し、そこに芝居、劇をかけあわせる。

連載
注目記事
朗読×劇「ほしのこえ」時空で2人の想いが交錯、新しい試みにあふれる野心作
  • 朗読×劇「ほしのこえ」時空で2人の想いが交錯、新しい試みにあふれる野心作
  • 朗読×劇「ほしのこえ」時空で2人の想いが交錯、新しい試みにあふれる野心作
  • 朗読×劇「ほしのこえ」時空で2人の想いが交錯、新しい試みにあふれる野心作
  • 朗読×劇「ほしのこえ」時空で2人の想いが交錯、新しい試みにあふれる野心作
  • 朗読×劇「ほしのこえ」時空で2人の想いが交錯、新しい試みにあふれる野心作
  • 朗読×劇「ほしのこえ」時空で2人の想いが交錯、新しい試みにあふれる野心作
連載115回
高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義  
[取材・構成: 高浩美]

■ ひとつひとつの言葉に込められた想いを表現し、そこに芝居、劇をかけあわせる。

アニメ映画『ほしのこえ -The voices of a distant star-』が舞台化された。この作品は新海誠の『彼と彼女の猫』に続く2作目の作品にあたる。2002年公開され、デジタルアニメーションで監督・脚本・演出・作画・美術・編集をほとんど1人で行った自主制作作品ということで注目を浴びた。
第1回新世紀東京国際アニメフェア21公募部門で優秀賞を受賞。他にも第7回アニメーション神戸・第6回文化庁メディア芸術祭デジタルアート部門特別賞・第34回星雲賞メディア部門・第8回AND AWARD BestDirector賞など国内外の賞を多数受賞している。
DVDも発売され、10万枚以上(日本6万枚、国外4万枚)と大ヒットを記録、新世紀インディーズアニメの金字塔とも言える作品となった。ラジオドラマ化、小説化、漫画化がなされたほか、DVDも世界各国で発売されている。

今回の舞台は演劇ユニットキャットミント隊がプロデュース。音楽は原作と同様に作曲家の天門さんが務め、脚本・演出家の拝田ちさとが世界観を表現する。
舞台化しようと思ったきっかけについて脚本・演出の拝田ちさとは「舞台化が難しそうである反面、実は舞台化したら役者さんの芝居が映える作品なのではないかと思いました。内容はピュアな恋愛ストーリー、だからリアルな反応や表情を感じてもらえたら、SFであり未来という現実ではない話でも感情移入できると思うのです」とコメントしている。

携帯電話のメールをモチーフに、宇宙に出た少女と地球に残った少年の間でずれていく時間と2人の想いを描いている。朗読劇でも芝居でもない”朗読×劇”というスタイルで挑戦する。
拝田ちさとは「新海監督の言葉を大事にしたいと思った時に朗読と芝居をかけあわせようと思いました芝居では変えなくては成り立たない台詞も朗読にすることにより世界観をそのままに伝えることができるのではないかと思います」と語る。
言霊という言葉があるが、ひとつひとつの言葉に込められた想いを表現し、そこに芝居、劇をかけあわせる。ストレートプレイでもなく、ミュージカルでもなく、シンプルな朗読でもない。昨今、こういった新しい表現に挑戦する舞台が増えているが、そこには大いなる可能性がある。

『ほしのこえ』と”朗読×劇”、舞台と客席が近い渋谷のシブゲキ!!という空間で上演、という点でも見逃せない。また、さらに主演のミカコとノボルには、数々のアニメ作品でメインキャラクターを務めてきた小松未可子と梅原裕一郎をはじめ、多彩な面々が起用された。ガールズユニット・PASSPO☆のリーダーを務める根岸愛、2008年にミュージカル『テニスの王子様』でデビューし、『仮面ライダー』シリーズで活躍した若手実力俳優・井上正大、舞台『弱虫ペダル』などで活躍する河原田巧也、特別出演として元モーニング娘。7代目リーダーの新垣里沙など、旬な顔ぶれが揃っている。
出演者の組み合わせは公演ごとに変更され、それぞれ違った魅力を引き出していく。これに関して拝田ちさとは「ご覧頂いたら納得だと思うのですが・・どのミカコ、ノボルも魅力的なのです。キャストの組み合わせが変わるのは作る上で勿論大変になります、ですが毎回違った表現の台詞の掛け合わせが新しいストーリーの一つになります」と語る。演じるキャストの持ち味や微妙な役に関する考え方でいくつものストーリーが紡ぎだされることになる。ここは見所のひとつとなるであろう。

また、主演の二人を取り巻く舞台オリジナルのキャラクターも登場する。元セブンティーンモデルの北山詩織ほか個性豊かなキャストを揃えている。舞台だけのオリジナルキャラクターを登場させることによって物語に多面性が生じたり、見えなかったことが見えてくることもある。
この舞台のオリジナルキャラクターに関して拝田ちさとは「『ほしのこえ』の登場人物は2人だけですが、離ればなれになってからの2人の別々に進んだ時間や孤独をオリジナルキャラクターによって伝えてみようと思いました。原作でもバックボーンはあまり出さないというコンセプトとの事で、掘り下げすぎない役回りでの作り方をしています」とコメントしている。シンプルでありながら、様々な”仕掛け”が施されている今回の舞台、必見であろう。
《高浩美》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集