「NUNOANI塾」はプロ向けに:日本のアニメ作りが変われば、未来も変わる。布川郁司氏インタビュー:後編 3ページ目 | アニメ!アニメ!

「NUNOANI塾」はプロ向けに:日本のアニメ作りが変われば、未来も変わる。布川郁司氏インタビュー:後編

アニメーションの演出やプロデューサーなどに必要なプロの知識を学ぶ「NUNOANI塾」を開講するぴえろ創業者で塾長の布川郁司氏に訊くインタビュー後編。[構成・執筆=渡辺由美子]

インタビュー
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■ 作画8000枚を使って得た学び

――布川さんご自身が、アニメーション制作の中で得た学びはどんなものでしたか。

布川
僕はアニメーターとしてアニメ業界に入ってから、スタジオぴえろを立ち上げて、しばらくはプロダクション経営と作品プロデュースと演出まで、全部やっていました。

ここで僕にとっての大きな分かれ道になる出来事がありました。
『ニルスのふしぎな旅』第2話で演出を担当した僕は、「ニルス」全編で物語の核となる、ガチョウのモルテンが解き放たれて仲間達と旅に出る場面を作画のスローモーションで見せることにしました。
その第2話は、作画枚数を8000枚も使ってしまったんです。TVシリーズなのに。

――第2話は覚えています。素晴しいシーンでした。それにしても8000枚はすごいですね。当時のTVシリーズでは1話につき3000枚くらいが平均だと聞いていました。

布川
そうなんです。第2話を作った後に、予算を管理している制作プロデューサーが飛んできて、「ここのままだと会社が潰れますよ!」と言われて、はっと経営者の顔に戻りました。

そうか、いいもんを作るのと経営するのは違うんだな……と学んで、そこで僕は自分の中のアーティストを封印したんです。そこで実制作からは離れて、経営とプロデュース業というビジネス分野に専念することにしました。結果的に、クリエイターにはクリエイティブな作業に専念してもらえる環境作りができたと思います。
《渡辺由美子》
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