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「NUNOANI塾」はプロ向けに:日本のアニメ作りが変われば、未来も変わる。布川郁司氏インタビュー:後編

アニメーションの演出やプロデューサーなどに必要なプロの知識を学ぶ「NUNOANI塾」を開講するぴえろ創業者で塾長の布川郁司氏に訊くインタビュー後編。[構成・執筆=渡辺由美子]

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■ プロになるための約束事

――「NUNOANI塾」の塾生にはどんな方がいますか。

布川
いろんなプロダクションの方が来ています。僕がいいなと思ったのは、「NUNOANI塾」が情報交換する場になっていることです。業界が同じでも、会社が違うとあまり交流がなんですよね。お互いのノウハウを共有することは大きな意義があると思います。

――入塾する人は、すべてプロの方ばかりなのですか。

布川
アニメ業界の人が多いですが、プロダクションに入ったことがない人もいます。先ほどお話ししたゲーム業界の人とか、あとは普通の会社に勤めていて「今の仕事に役立たせるために、映像を使ってプレゼンができるようになりたい」という方もいます。
塾生になるには、実務経験が無くても基礎的な映像表現への知識があれば問題はありません。

……でも、「これだけは、僕は約束をしない」ということがひとつあります。

ぴえろに就職をみつけないでね、と塾生には言ってあります。
NUNOANI塾に入っても、ぴえろに入社できるという保証はできないし、したくないんです。もちろんスキルを上げて、その上でぴえろに来てもらうのはかまわないんだけど、この塾を卒業したからと言って、アニメ制作会社に入社できて1年したら演出やプロデューサーにしてあげますよ、とは言えないんです。
人の育成と到達段階も様々ですから。
あくまで“プロの学びの場”がないから作ったというだけなので、宣伝も大げさにしていないんです。

難しいのは「憧れが高じて」の人。アニメ業界に「憧れ」を抱いているという理由で、立派な企業に勤めているのにそれを辞めてアニメ業界に入りたい、という方が来たことがあって、それは「憧れは憧れのままにしておいたほうがいいですよ」とお話したことがあります。
今の仕事を辞めても、将来の保証はできない。変に「夢多き世界だからさあどうぞ」なんて言えない。我々は学ぶ場を提供することはできるけれども、誘導することはできないんです。

――二年間、「NUNOANI塾」をやってみての感想はいかがですか。

布川
最近の人は「学び慣れ」しているなと思います。阿部くん、水野くんを教えていた時代は、歯ごたえがバチバチありました。単に講義の内容を記憶するというだけではなくて、ぐいぐい突っ込んで、我々から技を奪って欲しい。コンテ演出をやりたいのなら、コンテを1冊まるごとバンと出してくるくらいの気概が欲しい。それくらいの気持ちで来て欲しい。そんなふうに思います。
《渡辺由美子》
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