日本の特撮はいかに作られたのか?「日本特撮に関する調査報告書」公開 | アニメ!アニメ!

日本の特撮はいかに作られたのか?「日本特撮に関する調査報告書」公開

メディア芸術文化の情報を発信する総合サイトのメディア芸術カレントコンテンツにて、平成25年度の「日本特撮に関する調査報告書」が公開された。

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メディア芸術文化の情報を発信する総合サイトのメディア芸術カレントコンテンツにて、平成25年度の「日本特撮に関する調査報告書」が公開された。日本の映像文化のなかでも重要な位置を持つにもかかわらず、これまで見落とされてきた特撮の文化的系譜、技術などに焦点を当てたものである。
調査は文化庁の「メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業」の一環になっている。平成24年度にも調査が行われ今回で2度目となるが、前回の調査の足りなかった部分をさらにカバーするかたちで、内容の充実度が格段に増しているのも特徴だ。

報告書は全体で300ページ近くにも及ぶボリュームになる。報告書の意義や方向性を示す第1章、研究の今後の展望を描く第6章を挟むかたちで、「オーラルヒストリー」「特撮技術解説」「文献調査」「特撮年表」の4つのパートからなる。「オーラルヒストリー」と「特撮技術解説」で特撮文化の継承と保存、「文献調査」「特撮年表」ではアーカイブ資料の整備を目指していることが判る。
もともと、現状では特撮の文化・技術が消失、散逸するとの危機感でスタートしたプロジェクトだけに、意義のあるものだ。とりわけオーラルヒストリーでは特殊造形(怪獣制作)の開米栄三氏、操演・特殊効果の白熊栄次氏、小川誠氏、関山和昭氏、合成の飯塚定雄氏にインタビューを実施している。これまでテキスト化されてなかった技術や経験を引き出すのに成功している。

調査にあたっては、アニメ特撮研究家の氷川竜介さんが全体構成を務めたほか、また監修には特撮の現場にも詳しい映画監督・プロデューサーの庵野秀明氏、映画監督の樋口真嗣氏も加わっている。メディア芸術カレントコンテンツには、両氏からの特撮研究に対するメッセージも掲載されている。
さらに監修に原口智生氏(映画監督、特技監督、造型師)、監修・執筆に尾上克郎氏(特撮監督)、三池敏夫氏(特技監督)らも参加している。日本の特撮文化の知識の集積を目指している。

2年間にわたる調査で、特撮研究の基盤はかなり整った印象だ。今後は、こうした成果のうえにさらな調査・研究の積み重ねが求められる。
平成24年度、25年度の「日本特撮に関する調査報告書」は、いずれもメディア芸術カレントコンテンツのサイトにて無料でダウンロード出来る。

「日本特撮に関する調査報告書」
/http://mediag.jp/project/project/tokusatsu-report-h25.html

<内容>
■ オーラルヒストリー(インタビュー)
[執筆:氷川竜介、福留一輝、松野本和弘]
特殊造形(怪獣制作): 開米栄三
操演・特殊効果: 白熊栄次、小川誠、関山和昭
合成: 飯塚定雄
■ 特撮技術解説 [執筆:氷川竜介・三池敏夫]
■ 文献調査 [執筆:氷川竜介]
■ 特撮年表 [執筆:尾上克郎]
■ 研究の意義と今後の展望 [執筆:氷川竜介]

<調査実施体制>
全体構成: 氷川竜介(アニメ特撮研究家)
監修:
庵野秀明(監督・プロデューサー)、
樋口真嗣(映画監督)
原口智生(映画監督、特技監督、造型師)
監修・執筆:
尾上克郎(特撮研究所専務取締役/特撮監督)
三池敏夫(特撮研究所/特技監督)
調査・執筆: 福留一輝(ライター)、松野本和弘 (ライター)
《animeanime》
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