山本寛監督、柿崎プロデューサーら立命館大学映像学部で「映像と地域活性化」を語る-前編- 3ページ目 | アニメ!アニメ!

山本寛監督、柿崎プロデューサーら立命館大学映像学部で「映像と地域活性化」を語る-前編-

山本寛監督、柿崎俊道プロデューサーら、京都、立命館大学映像学部のクリエイティブ・リーダーシップセミナーで、「映像と地域活性化」について講演。山本寛監督のアニメ制作の裏側も。

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■ アニメファンが訪れても周辺地域に迷惑とならないように

だが、ここで予想外なことが起こった。兵庫県在住の友人から山本監督にメールが来るようになったのだという。兵庫県西宮市甲陽園周辺を見知らぬ人が数多く訪れるようになったという報だ。
とりあえず、「それ、俺のせいだゴメン」とあやまりながら、作品の舞台の背景には普通の住宅地も多く、モデルとなった高校にいたっては普通の住宅地が並ぶ小高い丘のうえの学校であるが故に、ファンが押し寄せるという状況にあせりを感じたという。ここまでの反響を想定していなかったのだ。

このような中、次作にあたる『らき☆すた』を構想するにあたり、若干の方向修正をしたという。舞台となる鷲宮でそれぞれの登場人物があつまる場所は、その場所にファンが来ても不自然でない場所を選ぶようにしたという。そこで選んだのが鷲宮神社だったのだ。神社であれば、人が写真をとってもなんの不都合もない。また駅前なども集合場所になることを想定した。

ただ、この際も地元との連携は考えてはおらず、「あくまでも迷惑はかけない」という意識で、これらの場所を選んだとのこと。当時は、事実上のシャッター商店街のような街並で写真を撮っていったのだが、そのときはじめて、「この閑散とした場所にファンが集まって街が賑わえばいいね」という発想が作り手の中にも生まれたとのことだ。
それは現実となった。当時、正月三が日の参拝者が9万人だった鷲宮神社はアニメ放映以降、30万人と急増し、2014年度も47万人を数えるに至っている。アニメ放映後は、あらたなレストランなども開店するなど町全体が賑わってきている。街や、建物を参考資料にする際、これらを使わせていただいていることについて恩返しをしたいと以前からおもっていたと山本監督。それがようやく出来るようになったと『らき☆すた』のときに実感したという。

ここでの経験を踏まえ、『かんなぎ』の制作にあたっても同様のアプローチで制作を進めていったと山本監督は当時を述懐する。
まずは、原作者が舞台にした場所を中心にロケーションハンティングを進めていった。主人公のナギのゆかりの地、神薙神社(顕現した木像の材料のひとつである御神木が生えていた神社)のモデルとなった、宮城県宮城郡七ヶ浜町の鼻節神社などだ。
だが、同神社は駅から非常に遠く、最寄の駅から歩いて1時間以上かかる。確かに聖地巡礼をするひとがいたものの、交通の便の悪さからそこまで足を運ぶひとは少なくなったとのこと。この経験を通し交通の便は重要であると改めて学んだという。
《animeanime》
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