目に優しくなった最新型動画机-三起社 数井浩子のアニメ社会科見学 第4回 | アニメ!アニメ!

目に優しくなった最新型動画机-三起社 数井浩子のアニメ社会科見学 第4回

数井浩子さんによる三起社と動画机の徹底取材シリーズは、今回がラスト。理想の動画机とは何かに迫ります。

連載 数井浩子のアニメ社会科見学
注目記事
「進化し続ける動画机」
を支えるメーカー魂―
三起社の工場長石井さんを訪ねて(4)


■ 数井浩子(アニメーター・演出)

三起社の動画机の愛用者はアニメーターだけではない。実は漫画家で使っている人も少なくない。工場長の石井さんは、漫画家さんのスタジオにも机を運び、組み立てる。

アニメーターも漫画家も長時間机に向かう仕事だ。動画机は使う人のことを考えた機能的な机ではあるが、トレス台に蛍光灯を使っているため、目にはあまりよくないのである。

三起社の最新型の動画机では、蛍光灯を止めた。ライトをLED灯に変えたことで、長時間仕事をしても目への負担は格段に軽くなったという。さらに、今まではライトを点けっぱなしにしていると蛍光管が発熱したが、LEDならその点も安全だ。しかも、経済的である。動画机というカタチは同じでも、パーツは工業技術が発展するとともに変えていく。使う人の負担を少しでも和らげたいという想いが伝わってくる。

■ 最新型の机は、アニメーターの目の健康に配慮した机

三起社では台湾製LEDを採用しているが、この製品に決定するまでに独自の耐久テストが行われている。実際の動画机にLEDを配置して、何時間も点けっぱなしにするのである。時間経過とともに劣化しないか、発熱しないか、危険ではないか、いくつものサンプルでテストをし、何度も安全性を確認したと、石井さんは言う。

その結果、現在のLEDライトが採用された。台湾製は蛍光灯に較べて長持ちし、安定しているのでチラつくこともなく目に優しい。しかも、光熱費は蛍光灯の約半分である。

しかし、ここで三起社は終わらない。明るくなって消耗しにくいLEDライトをさらに活かすため、ガラスも特製のスリガラスにしたのである。厚さは「この大きさのガラスとしては最大」といわれる10mmで、不用意に物を落としても割れにくい。そして、このすりガラスの最大のウリは、光がガラス面に沿って拡散するため、トレス台の明るさが均一になる点だ。

LEDライトと特注スリガラス。このコンビネーションがあれば、アニメーターの目の健康が守られるのではないかという石井さんたちの親心である。有難い。

■ 再び理想の机を目指して―

ライトが軽量になり、ガラスが厚くなったことで、目に優しくなった最新型動画机であるが、もうひとつ、うれしいオマケがついてきた。

蛍光灯を置く必要がなくなったことで、板ガラスとアクリル板で“あるもの”を挟み込むことができるようになったのだ。その“あるもの”とは、マグネットである。ガラスと白いアクリル板のあいだに、2種類の円柱型マグネット(ネオジム磁石とフェライト磁石)を置いたのである。そして、この強力磁石にぴったりのタップも新作した。

従来のタップは、125(mm)×50(mm)の細長い金属片で、中央に円柱の凸部、両脇に直方体の凸部がついている。三起社の最新型タップは、従来型を縦に2倍にした255(mm)×50(mm)の巾広タップであるが、広くなった部分の中央に直径20mmの磁石がついているのが特徴だ。

最新型の動画机はディズニー式の傾斜のある天板であるが、従来のタップでは滑り落ちてしまう。このタップが一番効果を発揮するのは天板を立てたときである。新型のタップとガラスの下のマグネットをくっつけると、動画用紙の10~20枚くらいならずり落ちない。加えて、マグネットによってタップ中央部分のみが固定されているため、動画用紙はどの方向にでも回転できるのである。

fd


《animeanime》
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