「フレデリック・バック展」 アニメーション作家の全貌を追う巨大空間 | アニメ!アニメ!

「フレデリック・バック展」 アニメーション作家の全貌を追う巨大空間

アニメーション作家フレデリック・バックの世界を紹介する「フレデリック・バック展」は、東京都現代美術館の企画展示室の1階と3階全てを使用する。

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 展示空間の広大さにまず驚かされる。アニメーション作家フレデリック・バックの世界を紹介する「フレデリック・バック展」は、東京都現代美術館の企画展示室の1階と3階全てを使用する。東京都現代美術館の企画展示室は、1階、3階そしてより規模の小さな地下2階を含めて4000㎡以上とされていることからも、その規模の大きさが分かるだろう。
 ブロックバスターと呼ばれる巨大な展覧会は決して珍しいわけではないが、それでもそれが一人のアニメーション作家にフォーカスしたものであることが驚きを与える。つまり、アニメーション作家を本当に語ろうとすれば、これだけの空間が必要になるという事実にである。展示作品は、およそ1000点にも及ぶという。

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 展覧会の構成は、まず前半で美術作家としてのバックにスポットを当てる。後期印象派の影響も窺わせるフランス時代の絵画から数々のイラストレーションまで。それらの作品群が、やがてバックの特徴である豊かな色彩や自然に対する視線につながることを理解させる。
 そして、アニメーションの時代に移る。カナダに渡り、ラジオ・カナダでの仕事をきっかけに制作開始したものだ。部屋には制作のために描かれた素材と資料が展示される。短編アニメーションの制作が、膨大な創作活動によって支えられていることを示す。それは完成作品の量の少なさと「短編」との言葉から、手軽とやや誤解を受けることもある短編アニメーションへの偏見を打ち砕くのに充分だ。

 一方で、短編アニメーションならではの、展示の面白さもある。作品が短いがゆえに、展示資料と映像作品を並行して鑑賞することが可能になっている。
 多くの展示で、映像自体の上映をしている。資料をみながら、実際にそれが動きだすとどうなるのかが確認出来るのだ。映像関連の展覧会の課題となりがちな、作品そのものを見せるというハードルを軽く飛びこす。
 それでも鑑賞には時間がかかる。少しでもアニメーション、アートに興味がある人であれば、きちんと鑑賞しようとすれば、1時間では全く足らないであろう。美術館に足を運ぶ際は、たっぷり時間を取りたい。
[数土直志]

フレデリック・バック展/L'Homme qui Plantait des Arbres
開催期間: 2011年7月2日(土)~2011年10月2日(日)
開催場所: 東京都現代美術館 企画展示室1F・3F
/http://www.ntv.co.jp/fredericback/

主催: 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館/日本テレビ放送網/マンマユート団
企画制作協力: スタジオジブリ/三鷹の森ジブリ美術館
特別協力: アトリエ・フレデリック・バック(In partnership with the Atelier Frédéric Back, Montréal.)/ラジオ・カナダ/国際森林年国内委員会事務局
*詳細は公式サイトで確認ください。

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《animeanime》
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