小池一夫先生がソーシャルメディアとキャラクター論を語る | アニメ!アニメ!

小池一夫先生がソーシャルメディアとキャラクター論を語る

初音ミクのイラストを書店でみかけることは、いまでは珍しくない経験だ。しかし、その本の著者が作家・マンガ原作者として知られる小池一夫氏であれば目を惹くに違いない。

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 初音ミクのイラストを書店でみかけることは、いまでは珍しくない経験だ。しかし、その本の著者が作家・マンガ原作者として知られる小池一夫氏であれば目を惹くに違いない。5月25日に発売された小池氏の最新著書「小池一夫のキャラクター新論 ソーシャルメディアが動かすキャラクターの力」は、表紙と裏表紙の双方に初音ミクの大きなイラストが配されている。
 キャラクター理論の第一人者である小池氏と初音ミク、やや驚きを与える組合せは、単なるプロモーション効果を狙ったものではない。「小池一夫のキャラクター新論」は、小池氏がまさに初音ミクについて語っている本なのだ。

 本書のテーマは、小池氏が長年打ち立て、多くの作家を生みだしたキャラクター理論を現在の新しいメディアに適用する方法である。初音ミクは勿論、東方プロジェクトやもしドラと現在の新しいかたちのキャラクターが次々と取り上げられている。さらにボーカロイド、コミPO!、twitter、フェースブックといった新時代のソフトやソーシャルメディア、CGM(消費者生成メディア)やフリーミアムといった概念まで縦横無尽にその世界を広げる。
 重要なのはこれが決して、小池氏が時代に迎合したものでないことである。これまでキャラクターの背景を作ることの大切を強調してきた小池氏は、それを持たない初音ミクがどうして人気があるのか疑問に思い、それを突き詰めた結果生れたのが「小池一夫のキャラクター新論」である。

 研究の結果として、小池氏は初音ミクや東方プロジェクトの博麗霊夢の人気もまた理論化してしまう。さらにそれをキャラクターづくりのテクニックにまで高めるのは、小池氏の真骨頂と言っていいだろう。
 小池氏の理論が明らかにするのは、時代や環境、メディアが変わっても、作品の中心となり、感動を呼び起こすのがキャラクターであること。そして、キャラクターづくりには、方法論が存在するという単純な事実だ。
 本書はGCM時代の実践的なキャラクター作りの教書を目指している。しかし、国内を代表するキャラクター理論の持ち主が分析する現在のキャラクター論として万人に楽しめる読み物ともなっている。

小池一夫のキャラクター新論 
ソーシャルメディアが動かすキャラクターの力

単行本(ソフトカバー):  223ページ
特典:  ニコニコ生放送より師弟対談120分DVD付き(1.さくまあきら 2.山口貴由)
出版社: 小池書院

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