インターネットやモバイルでのマンガ配信がますます一般的になる中で、絶版となったマンガをインターネットの利用でリバイバルする新たな試みが始まる。絶版となったマンガに広告を付け無料配信し、ビジネスとして成り立たせるというものだ。
 このビジネスモデルを提案するのは『魔法先生ネギま!』や『ラブひな』などの人気作品を生み出してきたマンガ家赤松健さんである。赤松健さんはマンガ家仲間と共同して「広告の入った絶版漫画をインターネットで無料閲覧できるサービス」の提供を目指して株式会社Jコミを設立した。

 赤松さんによれば、Jコミが考えるのは広告モデルによる絶版マンガのリバイバルだ。サイトに挙げられた作品には広告ページをつけられる。これによりユーザーは無料で作品をPDFにてダウンロード・閲覧出来る。この広告をユーザーがクリックすると作者に料金が入る仕組みだ。
 作品はPDFなのでプラッフォームに縛られず、より広いユーザーの獲得が可能となる。さらにPDFには、コピーガードのためのDRMをかけず何度コピーしても良いし、譲渡も可能になる。コピーされたファイルにも広告が付加されているから成り立つ今回のモデルの特徴だ。Jコムはこの収入から取り分を持たない。

 Jコミは2011年1月10日正式公開し、サービスのスタートを目指す。絶版マンガは何もしなければ、たとえ魅力的な作品で、読みたい読者がいても収益を生みださない。今回の試みは、うまく回ればまさにゼロから新たな価値を生み出す画期的なものとなる。
 しかし、理想的な試みも、実際にシステムとして持続するかはやってみなければ分からない。そこでJコミでは、スタートに先立って11月26日よりβ版サイトを利用したβテストを行なう。テストには赤松健さんのヒット作『らぶひな』が提供される。同作の1巻から14巻全てが無料という驚きの内容のテストだ。
 『らぶひな』のダウンロード数とクリック数を集計することで、「広告付きマンガの配信」というビジネスモデルの可能性を検証する。もし、成功すれば、マンガビジネスの新たな可能性を提示することになりそうだ。

 Jコミで注目したいのは、こうした試みが現在も週刊連載を続ける人気マンガ家から提案されたものであることだ。デジタル化、電子書籍技術の進展で、従来の雑誌、単行本のみのマンガ出版は岐路に差し掛かっている。
 出版社だけでなく、作家自身がそうした状況に危機感を感じているのかもしれない。より多くの読者に作品を届けたいという、作家による試みがどこまで広がるか、大きな注目を集めるのは間違いないだろう。

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