JAM2009成功するコンセプト 今後は他イベントとの調整が課題 | アニメ!アニメ!

JAM2009成功するコンセプト 今後は他イベントとの調整が課題

10月15日から17日まで、東京・秋葉原UDXでジャパン・アニメコラボ・マーケット(JAM)2009が開催された。JAMは2007年のJAPAN国際コンテンツフェスティバル(コ・フェスタ)のアニメーション部門として新たに誕生したビジネスイベントで、今年で3年目を迎える。アニメビ

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 10月15日から17日まで、東京・秋葉原UDXでジャパン・アニメコラボ・マーケット(JAM)2009が開催された。JAMは2007年のJAPAN国際コンテンツフェスティバル(コ・フェスタ)のアニメーション部門として新たに誕生したビジネスイベントで、今年で3年目を迎える。
 アニメビジネスイベントでは毎年春に開催される東京国際アニメフェアがよく知られているが、JAMはアニメの作品や映像そのものでなく、そこから二次的に派生するビジネスの活用、発展を目指しているのが特徴だ。

 開催から3年目を迎えた今年は、開催当初には分かり難かったアニメ関連ビジネスの二次展開という方向性がより明確になった。アニメを中心に、いままでの常識に捉われない関連事業展開を目指すとのコンセプトを評価する声は多い。
 実際にアニメ産業は、放送、映画、映像パッケージといった映像そのもの市場は年間2千数百億円程度に過ぎない。一方で、アニメから派生するキャラクター関連市場は一兆円以上とも言われるから、二次展開による市場拡大という方向性は合理的だ。

 また、今回の会場では古いキャラクターを掘り起こした商品提案や、アニメと提灯、扇、久谷焼などといった日本の伝統工芸と結びついた商品が多数見られた。流行を追いがちなアニメのライセンス事業に新たな風を吹き込むものだ。
 アニメと地域の活性化を結びつけた企画も多く、JAMならではの風景である。こうした提案が直ちに大きなビジネスにつながるとは限らないが、アニメビジネスの可能性を広げるという意味は大きい。

 一方で、JAM2009の目指す方向性が明らかになることで、JAMが今後克服すべき問題も明らかになってきた。JAMはコ・フェスタのオフィシャルイベントのひとつだが、このオフシャルイベント同士で扱い領域の重複が多数みられる。
 例えば、JAMは二次展開にあたって中小企業やプロの個人事業者を重視しているが、ほぼ同じ日程で小規模なクリエティブ企業の見本市東京コンテンツマーケットが東京ビッグサイトで開催されている。二次展開の鍵となるライセンスビジネスは、東京コンテンツマーケットと共催となったライセンシングアジアが取り扱う。二次展開を離れるとアニメ映画、テレビアニメは翌週から始まるTIFFCOMの主要取引コンテンツである。

 このためJAMはその志の高さにも関わらず、他のイベントと競合しており集客で苦戦している。秋葉原と東京ビッグサイトの距離を考えれば、これらの重複イベントは相乗効果というよりも、参加企業や来場者の分散を招いている。
 これはJAMに限ったものでなく、今年のコ・フェスタに見られる大きな特徴である。2008年、2009年とイベントの数が増えるほど、個別のイベントの存在感やパワーが小さくなっているように見えるからだ。

 もうひとつの問題点は、コンシュマー向けのイベントの存在である。一般に広くビジネスを紹介するというコンセプトは正しい。しかし、イベントの目指すものが二次展開、ライセンスビジネスとすれば、本来のテーマから離れた企画が少なからず見られる。それらを東京国際アニメフェアのような新作、新番組のプロモーションだとするとその数は少なく、その力はあまりにも弱い。
 また先程の東京コンテンツマーケットやライセンシングアジアの領域の重複と同様に、こうしたコンシュマー向けの企画は、ほぼ同じ時期に、同じ秋葉原を会場とする秋葉原エンタまつりとの差別化が難しくなっている。実際にステージイベント、上映プログラムにおける両者の差は、ほとんど見つけられない。企画タイトルだけを見てどちらのイベント企画かを判断出来る人は少ないだろう。

 JAMが目標を達成するためには、限られた予算と人材といったリソースを効率的に使うことが必要なはずである。そうであれば、その目標に向けたリソースの集中投下が求められる。
 来年以降のJAMは、コ・フェスタの中で存在する関連イベントとの調整で、より効率的なイベント運営を目指すことが必要でないだろうか。
[数土直志]

ジャパン・アニメコラボ・マーケット(JAM)2009
/http://www.jam-anime.jp/
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