9月28日、京都国際マンガミュージアムに宮崎駿監督が来館した。当ミュージアムでは、2002年に刊行された「虫眼とアニ眼」の挿絵展示「『虫眼とアニ眼』宮崎駿イラスト展」が10月4日まで開催中である。
 「虫眼とアニ眼」は宮崎監督と解剖学者の養老孟司氏との対談本で、養老氏が当ミュージアムの館長でもあることから、今回の対談となった。近年は宮崎監督が公に登場する機会がそれほど多くないのも相まって、観覧の事前申し込みは早々に打ち切られる人気となった。

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 対談はざっくばらんに進み、スタジオジブリ社内の保育室から国内各地の風土にも話が及んだ。アニメーションに関わる部分で宮崎監督は、背景は描く人によって異なる点を語った。例えば土を描く場合、出身が関東であると赤土を描くのは平気だが、現在各地で巡回展示を行っている秋田出身の男鹿和雄氏は、赤土に抵抗を示すそうだ。
 そのほか、木立や夕陽などにも各自が育った地域の影響が見て取れるという。逆に都会で育った人は自分の風土性が見られないため、基礎としてそれらに関する勉強が必要となると述べた。

 これらについては、相変わらず話題となっている「トトロを100回見た」という視聴者からの感想への悩みに対するものでもあった。エアコンの効いた部屋で『となりのトトロ』を観て絵が綺麗だと言われても、実際にそのような環境下で生活するのとは違うため、その辺りで矛盾を抱えているという日頃の悩みである。
 近況として、社員に女性が増えてきている話もなされた。ここ2年でやった入社試験で、選抜の過程で残った人の大半が女性となり、社内の女性の構成年齢が50代と20代になっている。

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 また、女性ばかりが主人公である点については、女性が時代の影響を受けにくいことを理由に挙げた。経験上、少年を主人公にして成長過程で何かが手に入るという風にしてもお客が入らないことや、一番簡単だとするスポーツものでも、その中でヒーローになれる者は限られていることも挙げた。そして、男性には自分が何者でどこから来てどこへ行くのかという古典的な命題が残っているために難しいとした。

 「男を主人公にしないと男の応募者がますます減るのかな」と宮崎監督が冗談を交えると、養老氏は日本ゲーム大賞で表彰されるのが全員男性であったことに触れた。日本ゲーム大賞は東京ゲームショウで併催されているが、養老氏はその選考委員長も務めている。
 「機械いじりは男の方が好きだからそっちに集まっているのかも知れない」との養老氏の話に、宮崎監督は「デジタルペイントで募集した時には男ばっかりが来た」と答えた。「昔は仕上げの作業は高卒の女の子が来ていた」と言うが、アニメーターが女性、仕上げが男性の逆転現象が起きているようだ。
 
 このほか4月に始動したトヨタ自動車本社内の「西ジブリ」で、ジブリ美術館用の作品制作も進行している。それに関して、現在上映中の6本に加えて12本になったら発売する予定もあるそうだが、「売らないものを持っている、この町に来ないと見られないものを持っているのはもの凄く豊かなことなんだと思うようになった。どうなるかは分かりませんが」。

 宮崎監督は対談前に養老館長の案内により、館内をじっくりと視察していた。対談後、宮崎監督はミュージアム入口に隣接する「ex cafe」店内の壁面にサインを行った。カフェ内の壁面には、これまでミュージアムへ訪れた漫画家などのサインがキャラクターと共に描かれている。今回、宮崎監督の描いたポニョも名物となるだろう。

一方、大阪・天保山のサントリーミュージアムでは、スタジオジブリ・レイアウト展が10月12日まで開催されている。こちらは昨年、東京都現代美術館で開催されたものが巡回している。
【真狩祐志】

京都国際マンガミュージアム http://www.kyotomm.jp/

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