7月11日、九州大学大橋キャンパスにてアヌシー国際アニメーションフェスティバルの報告会が行われた。アヌシー国際アニメーションフェスティバルは、カンヌ国際映画祭から独立して1960年から開催されてきた歴史と伝統のあるフェスティバルとして知られている。 この報告会は、今年のアヌシー国際アニメーションフェスティバルに松田美那子さんが制作した『日まわり草』が学生部門にノミネートされたことを受けたものである。 司会進行は講師の松隈浩之さんが務めた。松田さんの『日まわり草』は、九州大学大学院芸術工学研究院に設置されている九州大学先導的デジタルコンテンツ創成支援ユニット(ADCDU)の修了制作である。 松田さんは在学中、准教授の片山雅史さんが主催する「ひまわりプロジェクト」に参加していた。この「ひまわりプロジェクト」は3年前から始まったもので、福岡市内にある大濠公園の周囲にひまわりを植えている。 その活動を通じて感じたことを反映させられないかと思い、ひまわりをテーマにして作品化したのが『日まわり草』だった。「ひまわりプロジェクト」の理念にも含まれる「生命の循環や人と人、人と植物のつながりとかをテーマにした」と松田さんはいう。 手法的な面では、自由な表現を探すためにアナログを見直し、紙にドローイングを行った。そして最終的に水彩や色鉛筆のような質感のアニメーションになっている。作画枚数は900枚程度、制作期間は2ヶ月くらいとのことだ。 それから作品のエントリーなどについて話が移った。映画祭へのエントリーは英語もしくはフランス語で行うことになる。オフィスHの伊藤裕美さんが日本語訳したものが参考になったそうだ。 また作品の提出はDVDで構わないが、本選へのノミネートが決定するとベーカムで提出することになる。ベーカムのテープ自体も安価ではないうえに、リージョンが日本や北米などのようにNTSCではなくヨーロッパはPALなので、自ずと国内でも機材などの録画環境が限られてくる。最終的に『日まわり草』は、横浜の東京藝術大学大学院映像研究科で映像データの変換が行われた。 一般的にこの辺に関しての話をなかなか聞く機会がなく、相変わらず敷居の高さを感じる人も多いことだろう。しかし、作品の長さやジャンルを問わず「映画」なのだという意識が強まる契機になるのは確かだ。 「ひまわりプロジェクト」は今年も実施されている。大濠公園の周囲では、すくすくと成長して見ごろを迎えたひまわりが大輪の花を輝かせている。7月28日にはひまわりの写生大会、30日にはコンサートが開催される。 近年の九州大学の出身者には、松田さんの他に『イヴの時間』で監督の吉浦康裕さん、『森の安藤』などで人気の谷口崇さん、『オオカミはブタを食べようと思った。』がYouTubeで200万再生を突破した竹内泰人さんなどがいる。 また、デジスタ・アウォード2008で『さよなら△またきて□』がアーティストチョイスだった宇佐美毅さん、6月17日にYouTubeの自主制作動画特集で『memory』が紹介されて話題となった山元準一さんなどが在学しており、活躍が目立っている。【真狩祐志】ADCDU /http://www.adcdu.com/ひまわりプロジェクト /http://himawariproject.web.fc2.com/当サイトの関連記事/アヌシー学生部門公式出品 「日まわり草」 松田美那子さんに聞く/2009年アヌシーのトレンド オフィスH 伊藤裕美さんに聞く
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