アヌシー映画祭 長編グランプリに2作品 日本勢は受賞なし | アニメ!アニメ!

アヌシー映画祭 長編グランプリに2作品 日本勢は受賞なし

 6月8日からフランスで開催されていたアヌシー国際アニメーション映画祭(International Animated Film Festival and Market)は、6月13日の各賞発表と共に閉幕した。
 注目される長編アニメーション部門のグランプリ(クリスタル賞)は、1995年の長編部門創設以来の

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 6月8日からフランスで開催されていたアヌシー国際アニメーション映画祭(International Animated Film Festival and Market)は、6月13日の各賞発表と共に閉幕した。
 注目される長編アニメーション部門のグランプリ(クリスタル賞)は、1995年の長編部門創設以来の初のダブル受賞となった。ひとつはオーストラリアのアダム・エリオット監督の『Mary and Max』、もひとつは米国のヘンリー・セリック監督の『coraline』である。また、特別賞はなく観客賞としてフランス、アイルランド、ベルギーの合作『Brendan et le secret de Kells s』が受賞をしている。
 また短編部門のグランプリ(アヌシー・クリスタル賞)は、スウェーデンのHanna Heilbornさんと、David Aronowitschさんによる『Slavar』が選ばれた。

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          『Mary and Max』 Adam Benjamin Elliot, 2009 
          (c) Melodrama Pictures Pty, Ltd.

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          『Coraline』 Henry Selick, 2008
          (c) Universal Pictures International

 前評判の高かった『Mary and Max』に加えて、全米公開もされた『coraline』が審査員の評価を分け合ったかたちである。『Mary and Max』はクレイを使ったストップモーションアニメーション、『coraline』もストップモーションと3Dを交えた作品である。グランプリに輝いた両作品が、ストップモーションを用いたものとなる。
 また、観客賞の『Brendan et le secret de Kells s』は、中世アイルランドを舞台にした2Dアニメーション、絵本のような美しい映像が特徴になっている。アヌシーの会場でもCGアニメーションの勢いは増しているが、長編部門と短編部門に限るなら、依然手作り感の漂う作品が支持を受けるようだ。

 学生部門の作品賞は、フランスのCarlo Vogeleさんによる『For Sock's Sake』である。この学生部門の3人の審査員の一人は、マッドハウスの丸田順悟社長が務めている。
 テレビアニメーション部門では、ハンガリーのAlexey Alexeev監督による『Log Jam “The Log”, “The Rain”, “The Moon”, “The Snake”』がテレビ作品クリスタル賞を受賞している。

 今年は日本からは、短編部門に長尾武奈さんの『チェーンソー・メイド』、学生部門に松田美那子さんの『日まわり草』と奥田昌輝さん、大川原亮さん、小川雄太郎さんの『オーケストラ』が公式出品されていた。また、テレビシリーズ部門には、『ソウルイーター』と『うちの3姉妹』が出品された。しかし、残念ながらいずれも受賞には届かなかった。
 日本のアニメーションと同様に、近年アヌシーで注目が増していた韓国勢も今回は公式セレクションが少なく、受賞作品がなかった。アジア勢では台湾のKuang Pei Maさんによる『The Soliloquist』が、唯一学生部門の特別賞を受賞したのみである。アジア作品が目立たない年となった。

 アヌシー国際アニメーション映画祭を運営するCITIAは、今年のフェスティバルは最終的に12万枚を越えるチケット販売と6700人のアニメーションビジネス関係者の登録があったと発表している。さらにバイヤー登録は230人、プレス登録は300人となった。
 また番組見本市MIFAは昨年より展示会場を10%広げ、350社から出展があり、アニメーション産業に関する限りは経済不況の影響は見られないとする。1855作品の中から選ばれた192作品と共に、2009年の映画祭は大きな成功だったと言えるだろう。
 CITIAは、来年の映画祭を6月7日から12日までとすることも発表している。また、MIFAは6月9日から11日を予定している。

アヌシー国際アニメーション映画祭
(International Animated Film Festival and Market)
/http://www.annecy.org/home/index.php?Page_ID=2

【長編アニメーション部門】
グランプリ・クリスタル賞
  『Mary and Max』 Adam Elliot(オーストラリア)
  『coraline』 Henry Selick(米国)
観客賞
  『Brendan et le secret de Kells s』
  Tomm Moore、Nora Twomey(フランス/アイルランド/ベルギー)

【短編アニメーション部門】
グランプリ・アヌシークリスタル賞 
  『Slavar』 Hanna Heilborn、David Aronowitsch(スウェーデン)
審査員特別賞
  『Runaway』 Cordell Barker(カナダ)
Jean-Luc XIBERRA賞(審査員新人賞) 
  『L'homme À La Gordini』 Jean-Christophe Lie(フランス)
特別賞
  『Please Say Something』 David Oreilly(ドイツ/アイルランド)
音楽賞
  『Chick』 Michal Socha(ポーランド)
観客賞 
  『Western Spaghetti』 PES(米国)

【テレビアニメーション&商業部門】
グランプリ・TV作品クリスタル賞
  『Log Jam “The Log”, “The Rain”, “The Moon”, “The Snake”』
  Alexey Alexeev(ハンガリー)
特別賞
  『Pat et Stan“Jour De Bain”』 Pierre Coffin、Marco Allard(フランス)
テレビスペシャル賞
  『Lost and Found』 Philip Hunt (イギリス)
教育、科学、産業映画賞
  『How to Destroy the World“Rubbish”』 Pete Bishop(イギリス)
広告、プロモーション映画賞
  BBC iPlayer 『Penguins』 Darren Walsh(イギリス)
ミュージック・ビデオ賞
  Flogging Molly 『Float』 Karni & Saul(イギリス)

【学生部門】
作品賞
  『For Sock's Sake』 Carlo Vogele(フランス)
審査員特別賞
  『EX-E.T.』 
  Benoit Bargeton、Yannick Lasfas、Remy Froment、Nicolas Gracia
  (フランス)
特別賞
  『The Soliloquist』 Kuang Pei Ma(台湾)
《animeanime》
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