『無限航路』に見るゲームとアニメの相乗効果 (1) | アニメ!アニメ!

『無限航路』に見るゲームとアニメの相乗効果 (1)

レビュー 実写

注目すべきプロモーションアニメの新トレンド
    『無限航路』に見るゲームとアニメの相乗効果


文:氷川竜介(アニメ評論家)

 アニメは何もTVや劇場映画だけではない。意外なところに要注目のハイクオリティアニメが存在していて、にもわらず肝心のアニメファンに知られていないケースもある。ここではその一例としてニンテンドーDS用ゲーム『無限航路』(製作:セガ/2009年6月11日発売予定)のプロモーション用短編アニメーション『無限航路 Animated short film』を紹介してみたい。
 映像の世界には以前からPVというジャンルがあり、音楽や玩具の宣伝用にアニメが作られることがあった。たとえばメロディーや歌詞だけでは伝えきれない世界観やイメージをビジュアルで触発させたり、ロボットや魔法少女が玩具そのままではなく現実ように活躍するところを描いたり。訴えたい要素をビジュアル化してユーザーにぶつけるアニメは、いろんな事例があった。
 ところが、ゲームだけは少し事情が違うように思う。売れ筋ゲーム作品をマルチメディア的にTVシリーズとしてアニメ化する例はあっても、新作に対して「ゲームの世界観を伝えるためのプロモーションアニメ」となると珍しい。『無限航路』はその希有な事例に該当する。しかも意外と言っては失礼だが、スタッフもキャストも実に豪華で、映像のクオリティもかなりのものなのである。

 アニメーション制作を担当するプロダクションは、GONZOとProduction I.G。アニメファンなら知らない人はいないほどの超有名ブランドである。そして監督は、ソエジマヤスフミ。デジタル系のディレクターでは非常に著名で、NHKで放送されたオムニバスアニメ『アニ・クリ15』(アニメクリエイター15人を選抜した1分の短編)でも『火男(ヒョットコ)』という斬新な映像で注目された。スタッフとしても、『巌窟王』(デジタルディレクター)、『ケメコデラックス!』(3DCGI)、『リストランテ・パラディーゾ』(アートディレクター)など目に焼きついて離れないような映像を提供、特にキーになる表現を美術的なデジタル技法で印象づけている。
 アニメ用のキャラクターデザインは、『ケロロ軍曹』や『カレイドスター』の追崎史敏が担当。とりわけアニメファンに注目してほしいのは、ゲームの鍵となる戦艦のデザイナーとして起用された面々である。大久保淳二(出雲重機)、新貝田鉄也郎、寺岡賢司、時代みつる、宮武一貴、村田護郎、山口 恭史、鷲尾直広といった当代随一のメカデザイナーが総結集しているのだ。これだけのメンバーがそろうのは壮観で、その戦艦の一部はアニメにも登場してくる。
 キャストもまたゴージャスだ。宇宙を目ざす少年ユーリ役を演じるのは朴璐美、彼を宇宙へ導く美女トスカ・ジッタリンダは塩山由佳、ユーリの妹チェルシーは新谷良子と注目声優が結集。加えて大海賊ヴァランタイン役の銀河万丈を筆頭に、茶風林、榊原良子、立木文彦といった渋いベテランが作品を固めている。
 加えてアニメ用の音楽は『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-』の天野正道が担当。演奏は東京交響楽団で、荘厳かつ重厚なクラシック調なものが流れるのだから、実にたまらない。

/『無限航路』に見るゲームとアニメの相乗効果 (2)に続く
《animeanime》
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