東京国際アニメフェア2009 制作現場に溶けゆくFlash | アニメ!アニメ!

東京国際アニメフェア2009 制作現場に溶けゆくFlash

 3月18日から21日まで東京ビッグサイトで開催された東京国際アニメフェア2009では、蛙男商会作品などのプロデュースをするDLEが出展していなかったことも一部で話題となった。2006年から昨年まで出展していたDLEのブースは、小間数も多かったこともあり、これまではブ

コラム・レビュー
注目記事
 3月18日から21日まで東京ビッグサイトで開催された東京国際アニメフェア2009では、蛙男商会作品などのプロデュースをするDLEが出展していなかったことも一部で話題となった。2006年から昨年まで出展していたDLEのブースは、小間数も多かったこともあり、これまではブースの展示でも目を惹いた存在だった。
 一方、ラレコ氏の『やわらか戦車』などをプロデュースするファンワークスも、今年はフロンティアワークスとの共同出展のみとなり、若干寂しい印象を受けた。

 DLEもファンワークスもFlashでの制作に絞っているわけではない。しかし、蛙男商会やラレコ氏などのようにネットで有名であったとか、個人クリエイターがメジャーになったという視点では、Flashが勢いを失ったかのように見えてしまう。
 とはいえ、実際にはFlashでの制作を謳う会社は、例年ほかにも何社も出展している。今年も大手でも東映アニメーションが放送中の『うちの3姉妹』や、蛙男商会などと共同して展開する『京浜家族』の展示を行っていた。

 『ヤッターマン×トウシバ』などを制作しているオペラハウスも出展している。オペラハウスは『ののちゃんシアター』や『がんばれ!!タブチくん!!』など、2000年代初頭からFlashでの制作を行ってきた。
また、昨年はクリエイターズワールドのミニステージでアドビとFlashのセミナーも行うなど、Flashに力を入れる。
 そのほかの今年の出展では、ヒカリインパクト、ぴっぷや、メディクリエ、ワンダー・ラボなどもFlashで制作をする。メディクリエは、ネット上での流行を牽引していた一部の個人クリエイターの集まりから起業に至った会社で、今回初出展した。ワンダー・ラボは、キッズステーションなどで放送中の『おねがい!ポクポン』を制作している。

 出展全体からすると上記はごく一部の例に過ぎない。現状、Flashがどこでどのように制作で使われているかの実態を把握するのは非常に困難だからである。
 例えば、29日にブルーレイディスクでの発売が発表された『プラネテス』でも、劇中終盤のあの「白ネコ」は個人がFlashで制作している。このほか個人レベルで、とある劇場映画のオープニングやエンディングをFlashで制作していたりする例も既にある。

 こうしたFlash制作の広がりは、マクロメディアがアドビに買収された後、映像制作用の製品群であるProduction PremiumにFlashが同梱されるようになった影響も大きい。その一方、Flashアニメを名乗っ
ている場合にも、Flashをメインに使用しているのでなく、単にFlashアニメっぽく見えるからという理由だったりすることもあり、余計に厄介なことになっている。
 実際に、以前から描画にIllustrator、アニメーションの制作にAfter Effectsという作り方はあったし、セルシスのRETASなどにもベクターでの描画機能があるため、それらしい作品を制作することが出来た。
 
 最近ではFlashで制作を行った後に、仕上げの段階でAfter Effectsで効果を加える例も普通になりつつある。
 こうなると見た目での判断が不可能であるため、Flashで作ったことを売りにしてプロモーションを行うことや、わざわざFlashを制作に使用したと宣言すること自体も意味をなさなくなってくる。

 今回のアニメフェアでは、第81回アカデミー賞で受賞した加藤久仁生氏の『つみきのいえ』も特別上映された。
 『つみきのいえ』にはFlashは使われていないが、加藤氏も過去には『或る旅人の日記』の制作で一時期Flashを使用していたことがある。しかし、作品のテイストは『つみきのいえ』も『或る旅人の日記』も見た目には何ら変わりがない。
【真狩祐志】

東京国際アニメフェア /http://www.tokyoanime.jp /

当サイトの関連記事
/ Flashに対する誤解や偏見 ソフトウェア業界の攻防
《animeanime》
【注目の記事】[PR]

特集