第63回毎日映画コンクールは、1月21日に大賞をはじめとする各賞を発表した。このうち大藤信郎賞は、宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』が受賞した。大藤信郎賞は、今回で46回目を迎える日本で最も古いアニメーション映画賞として知られている。 また、アニメーションを対象にしたもうひとつの映画賞であるアニメーション映画賞は、押井守監督の『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』が受賞した。日本を代表する2人の監督が、賞を分け合うかたちとなった。巨匠監督の存在感の大きさを見せつけた。 毎日映画コンクールは国内の主要な映画賞のなかで、ふたつのアニメーション映画賞を持つユニークな特長を持っている。もともと1962年にアニメーション賞として大藤信郎賞が、同氏の遺産を基に始まった。 しかし、1980年代に劇場アニメの公開が増加して、エンタテインメント作品の受賞が続いた。このためエンタテインメント系の作品とアート系の作品の住み分け考えて、アニメーション映画賞が設けられた。 現在は、大藤信郎賞はアニメーション映画の表現、技術に対して際立った功績のあった作品、アニメーション映画賞はより総合的な作品評価による選出と住み分けている。 昨年は大藤信郎賞を『カフカ田舎医者』(山村浩二監督)、アニメーション映画賞を『河童のクゥと夏休み』(原恵一監督)が受賞している。 興行収入160億円近くをあげる『崖の上のポニョ』は、こうして見ると大藤信郎賞よりもアニメーション映画賞向きの作品に見える。しかし、今回は受賞にあたっては、わざわざ「『崖の上のポニョ』における宮崎駿監督の独創的表現」とタイトルしている。 『崖の上のポニョ』の受賞の対象は作品全体ではなく、宮崎監督の表現方法とその新しさに絞られている。映画公開時に話題を呼んだ全編手描きの作画や従来の物語の構成論を無視したようなストーリー展開などもここに含まれるようだ。67歳にして未だ新しい表現を生み出す宮崎監督を顕彰するものである。 毎日映画コンクール 公式サイト /http://mainichi.jp/enta/cinema/mfa/index.html毎日新聞の受賞発表 /http://mainichi.jp/enta/cinema/mfa/index.html
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