プロダクション I.Gの代表取締役社長石川光久氏が、2008年12月19日にKKベストセラーズから「アニメーション業界・異端児プロデューサーの現場力革命」を上梓した。 アニメ制作会社の経営者、プロデューサーとして、プロダクション I.Gを通じてアニメ業界の中でも特に強烈な個性を生みだす石川氏の考え方の一端が伺える本である。 石川光久氏についての本は2006年に発刊された『雑草魂~石川光久 アニメビジネスを変えた男~』(日経BP社)が既にある。しかし、『雑草魂』が第三者の視線から石川氏とプロダクション I.Gという会社を語っていたのに較べて、『現場力革命』は石川氏が自ら考えを伝える性格が強い。 またそれだけに、より個人的な思いに溢れた、個性の強い本となっている。ここで語られているのは、石川氏がアニメ業界に入るきっかけから、会社の創業、押井守監督との関わり、企業上場、現在の取り巻く状況、そして日頃の思いまで幅広い物事だ。 世の中に経営者が語る本は数多いが、不思議なことにアニメーション制作会社の社長の本はあまりない。それはアニメ業界自体が外に向かって語りかけることが少ないことともつながる。 そうした中で石川光久氏は、今回の本に限らず、外に向かって出来るだけ多く語ってきた一人だ。プロダクションI.G(現IGポート)が株式上場企業として世に向けて経営開示を行っていることも、こうした一環かもしれない。外部とのつながりを常に求めることが、プロダクションI.Gが新しいビジネスのパートナーやビシネスの枠組みを生み出す秘訣なのだろう。 では、石川氏は外に向かって何を語っているのだろうか。実は『現場力革命』で語られていることは、奇をてらったことは何ひとつない。物事を決断するに至った理由や人間関係の築き方、仕事への取り組みかたについて、そうして「謙虚であれ」、「周りの人を幸せにしろ」、「チャンスを逃すな」といったどれもオーソドックスな言葉だ。 それが他と異なるのは、これらの言葉がアニメを制作する現場から生まれた体験的なものとして説得力を持つことだ。アニメビジネスの現場の真ん中にいる石川氏がそれを語ることで、世間からはやや異なった世界と思われがちなアニメ業界もまた、他の産業や職業と同じ論理で動く世界であるという当たり前のことを思い出させる。 「現場力革命」にアニメビジネスやプロデューサー論、あるいは業界裏話的なものを期待するとやや外される。勿論、そうした要素もあるのだが、『現場力革命』の本質は、誰もが生きていくうえで必要な生き方や、考え方についての指針だからだ。「アニメーション業界・異端児プロデューサーの 現場力革命」出版社 KKベストセラーズ価格 1370円(税込)
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