講義後に、受講している学生に声をかけてみた。「日本文化への興味から発展し、アニメ文化に興味を持った」という女子学生から、「歴史を勉強していて日本の神道や宗教に興味がある」と答える男子学生など真面目な学生が多く、サブカルチャーへの関心を予想した筆者にとっては意外な受講生たちに思えた。 そうはいっても、アニメへの関心も強く、女子学生は「『フリクリ』の、観客を飽きさせない展開が好き」と答え、男子学生は「セーラームーンの頃から興味を持って、マンガもアニメもコレクションするのが大好き」と答える。 サトクリフ教授によると、現在のアメリカのアニメファンは10年前にポケモンを見て育った子どもたちが、大きくなって、今ハイティーンのボリュームゾーンを形成しているのだという。 彼らはある時からアニメマニアに転んだのではなく、成長とともにアニメを見続けてきた、ある意味でまったく新しい海外のアニメファンなのかもしれない。サトクリフ教授は通常のカリキュラムにもマンガを教える講座を持ち、満席であるという。 批評文化が発達している米国では現在でもオタク的な討論がネット上で盛んである。しかし一方で、各人の知識に偏りや「誤解」も多々ある。その一因は実体験や文献の不確かな伝播によるものである。 今回の受講生たちのようにしっかりと「歴史」と「教養」を得た人々が今後増えていくと、日本における「オタク学」の浸透がおこることも考えられる。そうしたとき、他の人文系学問のように他国からの言及を受ける「オタク学」が、より一層活発化することだろう。彼らはその第一世代になるのかもしれない。その1 /http://animeanime.jp/report/archives/2008/06/tuj_1.htmlその2 /http://animeanime.jp/report/archives/2008/06/tuj2.htmlテンプル大学ジャパンキャンパス /http://www.tuj.ac.jp