『かのこん』配信中止 繰り返される窓口の移動 | アニメ!アニメ!

『かのこん』配信中止 繰り返される窓口の移動

レビュー そのほか

 美少女アニメの『かのこん』第7話について、バンダイチャンネルは全配信先に対して無料配信の中止を決定した。
 これは5月21日にGyaO側が「第7話以降において一部過激な表現があり、バンダイチャンネル側との協議を行いまして、第7話以降の無料配信を自主的に中止する」と発表したことを受けてのものである。

 同作は、都会の薫風高校に転校してきた純朴少年の小山田耕太と、耕太に一目ぼれし、ナイスバディを武器に積極的にアプローチをする美少女・源ちずるの物語を中心としたドタバタ学園ラブコメ。
 原作のライトノベルの段階からギリギリなエロティック表現を文章表現することが魅力の一つである人気作品で、アニメ放送でも「原作クオリティの寸止め」を売りにしたスタンスで制作にチャレンジしていたが、放送自体が寸止めとなってしまった。

 今後の第7話以降については、登録の際にクレジットカード情報などで年齢が確認できる有料配信に切り替える。
 しかし、GyaOの「ShowTime」ではクレジットカードかイーバンク決済の新規入会者向けに、5月26日から6月20日まで6月度利用料無料の「お試しキャンペーン」を行っており、対象者は6月度末配信の10話まで事実上、無料配信を利用することが出来る。

 また、唯一のテレビ放送を行っていた有料チャンネルのAT-Xについては放送形態に変更はない。AT-Xでは当初からR15指定の番組として放送を行っていた。
 なお、4月30日のアナウンス通り、テレビ放送・ネット配信版よりも表現規制を緩和したバージョンは6月25日発売のDVD初回限定版に特典ディスクとして付属する。

 社会情勢を反映した放送の見合わせは2007年に特に多く『こどものじかん』、『ひぐらしの鳴く頃に解』、『SchoolDays』などでもテレビ局の自主判断が行われた。
 その際にいくつかの作品の視聴窓口となったのは、ネット配信チャンネルであった。上記の作品は、最初の発表時はどれもUHF局での放送ある。

 UHF局によるシンジケーションは2003年から特に増加してきており、今では珍しくない放送形態である。それが積極的に行われた理由の一つは、従来の地上波(VHF)局での表現規制が厳しくなったためである。
 表現規制の緩やかさを求め、地上波からU局、U局からネット配信へと窓口は映ってきている流れがあり、今回の「かのこん」の配信中止はそれらの軌跡をなぞっただけにすぎない。

 これが示すのは、ネット配信窓口がもはやマイナーなものではなく、年少者でも気軽に触れられる窓口であること。そして過激な表現とされるものに、配信側と制作側にコンセンサスが事前に取られていないために繰り返されたということである。
 放送や配信の倫理規定は個別具体的に行われるわけではなく、例えばWOWOWには放送時間を考慮した上で実写映画と同等のレーティングで表現を考えて制作されている作品もある。

 配信やビデオグラムを購入すれば視聴することはできる。しかしそもそもそうした表現は作品のために必要なのだろうか。ましてや、一時期流行した「濃い湯煙」といった手段を採ることが作品作りをする上で本当に意味のあることなのだろうか。
 一方でそうした表現をスポイルするに十分な理論立てた規定を持っているのだろうか。今回の配信中止措置は、制作者は表現者としての自覚を、窓口側は社会的な立場を考えるよい機会になったと言える。
【日詰明嘉】
《animeanime》
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