第12回手塚治虫文化賞「もやしもん」 新生賞は「トロイメライ」

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 朝日新聞社が主催する手塚治虫文化賞の大賞、新生賞、短編賞などが、5月10日に発表された。今年で12回目を迎える同賞は、優れたマンガ作品を毎年顕彰する。
 今年は荒俣宏、いしかわじゅん、印口崇、香山リカ、呉智英、萩尾望都、藤本由香里、村上知彦の各選考委員がそれぞれの作品を選決定した。

 年間で最も優れた作品に対して与えられる大賞は、石川雅之さんの『もやしもん』が選ばれた。『もやしもん』は、2004年よりマンガ雑誌「イブニング」(講談社)で連載をされている人気マンガである。キャラクター化された菌と会話する主人公、その主人公を巡る日常生活を楽しく描く。斬新性と物語の完成度が評価された。
 作品は昨年秋にテレビアニメ化もされている。深夜放送ながら高い視聴率を獲得し、話題となっている。

 新しい表現方法を持つ才能に与えられる新生賞には、島田虎之介さんの『トロイメライ』(青林工藝舎)が選ばれた。一台のピアノを巡る群像劇を描き出す作品である。
 短編賞は大島弓子さんの『グーグーだって猫である』(角川書店刊)となった。飼い猫を中心に繰り広げるエッセイ風のマンガである。猫を主人公にした『綿の国星』で知られる著者の猫への愛情が伝わってくる作品である。今年秋には小泉今日子さん主演で、劇場映画も公開される。
 マンガ文化の貢献を表彰する特別賞は、大阪府立国際児童文学館が選ばれた。これは長年にわたる児童図書やマンガ図書の所蔵、収集と研究を評価したものである。
 
 手塚治虫文化賞は、出版社の枠を超えてマンガの専門家が選ぶ賞として注目されている。これまでの受賞者・作品には、藤子・F・不二雄さんの 『ドラえもん』、井上雄彦さんの 『バガボンド』、浦沢直樹さんの 『MONSTER』などもある。
 また、例年、選考委員が持ち点15点を配分して投票する一次選考の結果と選考の経緯を公開しているのも特徴である。

 今回の一次選考の結果と選考の経緯によると、大賞を受賞した『もやしもん』が選考委員8人中5人と幅広い支持を集めて、1次選考の1位であったことが判る。
 同様に一次選考2位の『海街diary1』も、4人の選考委員が推しており高く評価されていたようだ。特徴的なのは『大奥』で、8人の選考委員のうち女性の選考委員3名の全員推す一方で、男性の選考委員からは得点を獲得できていない。少女マンガであるだけでなく男女逆転という作品のテーマの特異性もあり、興味深い結果と言えるだろう。

第12回手塚治虫文化賞 /http://www.asahi.com/tezuka/

大賞
『もやしもん』 石川雅之

新生賞
『トロイメライ』 島田虎之介

短編賞
『グーグーだって猫である』 大島弓子

特別賞
大阪府立国際児童文学館
《animeanime》

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