2008年3月27日、東京国際アニメフェア2008のビジネスデーに、当サイトを運営する株式会社アニメアニメジャパンは「北米アニメファンから考えるアニメ産業」と題したシンポジウムを開催した。 パネリストは、ジャーナリスト・編集者のエド・チャベスさん、北米でアニメ情報を扱うニュースサイトAnime News Network編集長のクリストファー・マクドナルドさん、大型アニメコンベンション「Otakon」の代表ション・シオシャンキットマンさん、交渉関係部長のジム・ヴォルズさん、アメリカ最大のコンベンション・アニメエキスポを運営するSPJAのCEOのトゥルーリー・カラハシさんの5人である。 ディスカッションのテーマは「日米のアニメファンの大きな違い」、「アニメ、マンガの大衆化の現状」、「アニメ、マンガ分野の著作権問題」の3点である。 <日米人気作品のちがい> 最初に、日米アニメファンの違いについて「日本と北米で人気の異なる作品」について意見が交わされた。 シオ・シャンキットマンさんは、これに対して「ストーリーとアニメーションが良ければ作品の評価は大きく変わらない」という。一方、マクドナルドさんは、一般的に日本で人気の作品はアメリカでも人気だが、『カウボーイビバップ』は日本よりもずっと大ヒット作品であり、また日本で人気の『NARUTO』も、アメリカではずっと多くの人気を獲得しているといった例を挙げた。 日米で人気が異なる理由について、チャベスさんは、日本に比べアメリカはマーケットやファンの成長がより急激だった点にあるとする。また、アメリカでアニメが視聴され始めたのは80年代と比較的新しいという歴史の違いがある点を指摘する。 さらに、これらはインターネットの普及と密接であるとする。インターネットを通じて90年代後半から急激にアメリカのアニメファンの情報量が増加し、作品の情報も日本と時差が無く手に入るようになった。また、こうしたファンの盛り上がりに応える形で、日本でも最新の作品が発売されていった。 このため日本のように歴史的な段階を追い、コンテクストを踏まえたかたちでキャラクターや物語の展開を知ることがなくなっている。最新のアニメだけを手に入れたため、過去の作品に立ち戻る機会を得られないという。 また、マンガに関して言えば、アニメ化されていないマンガの情報はあまりファンの元に届かない。このため、日本のようにマンガ連載とアニメ作品の人気が上手く噛み合わず、人気を逃している作品もあるという。/「北米アニメファンから考えるアニメ産業」レポート 2に続く アニメファンから考える北米アニメビジネスの現状日時 3月27日(木) 14:30 - 16:00主催 株式会社アニメアニメジャパン出演者〔パネリスト〕エド・チャベス(Ed Chavez) (フリーランス‐ジャーナリスト、編集者)クリストファー・マックドナルド(Christopher Macdonald) (Anime News Network編集長、Protoculture Addicts 発行人)ション・シオシャンキットマン (Otakon コベンション代表)ジム・ヴォルズ(Jim Vowles, Jr.) (Otakon 交渉関係部長 ゲスト・プレス・業界関係)トゥルーリー・カラハシ(Trulee Karahashi) (日本アニメーション振興会 最高経営責任者)〔司会〕数土直志(株式会社アニメアニメジャパン)