米国の児童図書館協会は、2008年のバチェルダー賞に宮部みゆきさんの『ブレイブ・ストーリー』の英語翻訳版(訳:アレクサンダー・O・スミス)を選出した。英語版は小学館・集英社系の米国法人VIZメディアが出版を行った。 バチェルダー賞は、1966年に米国児童図書館協会が設立した。その年の最も優れた海外児童作品の翻訳出版書籍1冊に与えられる。日本の作品が受賞したのは、1997年湯本香樹実さんの『夏の庭 The Friends』以来10年ぶり、今回で3度目である。 『ブレイブ・ストーリー』は、2006年に日本で劇場アニメ化され話題を呼んでいる。また、ほぼ同時期に、アニメだけでなくマンガ化やゲーム化もされている。 今回の『ブレイブ・ストーリー』原作小説のアメリカでの翻訳出版も、これに合わせたものに見える。しかし実際には、アニメ版『ブレイブ・ストーリー』は、北米では劇場公開もDVDの発売もこれまで行われていない。 一方で北米では、今回の小説のほかに、マンガ版がTOKYOPOPから発売されているほか、PSP向けのゲームソフト『ブレイブ・ストーリー: 新たなる旅人』も発売されている。 いずれにしても、今回の受賞はアニメとあまり関係がなく、児童図書館協会が独自に作品を見つけ出し評価したものと言える。 『ブレイブ・ストーリー』を出版するVIZ メディアの現在の主要事業は、日本マンガの翻訳出版や日本アニメの北米での展開である。同社は小説やライトノベル、アニメのノベライズド、ムック本の発刊も行っている。しかし、これらは比較的最近のビジネスで、出版点数も必ずしも多くない。 そうしたなかでのバチェルダー賞の受賞は、同社の翻訳出版の評価を高めることになるだろう。また、マンガやアニメは日英翻訳の質が大きく問われる仕事である。小説以外の分野でも、バチェルダー賞の受賞は同社の評価を高めるに違いない。米国児童図書館協会 The Association for Library Service to Children/http://www.ala.org/VIZメディア /http://www.viz.com/ /ブレイブ・ストーリー
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