2007年の個人・少人数制作アニメーションの状況【2】 | アニメ!アニメ!

2007年の個人・少人数制作アニメーションの状況【2】

レビュー そのほか

【ネットの環境開発へ移行したFlash】
 昨年はFlash誕生10周年というタイミングに合わせるかのようにFlashを利用するラレコ氏の『やわらか戦車』や蛙男商会の『THE FROGMAN SHOW』がメディアを賑わせた。
 また、今年は6月からNHKのみんなのうたで放送されたうるまでるびの『おしりかじり虫』が現在もヒット中である。

 アニメーション関係のメディアでは、触れられる事があまりないが、Flashはアニメーションを制作するだけのソフトではない。
 今年Flashが注目を浴びたのはアニメーション制作者の界隈ではなく、実はプログラマーなどの開発者の界隈である。Action Scriptという開発言語がFlashにもあるが、5年程前からFlashと他の開発言語を組み合わせてサーバーとの連携を図るようになっていた。Flash Videoを使用した昨今の動画共有サービスもその延長上にある。

 アニメーションを含め映像制作を行う側の視点だと、YouTubeやニコニコ動画はFlashではないのだが、サーバーを絡めた開発者側からの視点だとFlashでもある。
 形容が難しいのだがFlashが作品を公開するための「器」ともなっているという考え方も出来る。しかし、そこで公開されている作品をFlashアニメと呼んでしまうとおかしな事になる。 
 他の動画配信形態でも制作手法のジャンルに関わらず、根拠なくFlashアニメとして紹介されてしまう事例がしばしば見受けられる理由の1つとなっている。

 一方、Yahoo!動画やGyaOでの作品配信は今まで同様Windows Media Videoで行われている。
 こうしたサイトの今後の動向が気になるが、GyaO内の一部「GAGA映画予告編」では、Silverlightを使用した配信を行っている。このSilverlightはWindows Media VideoにFlashのように双方向性を持たせる配信形式である。

【ますます際立つ二次創作やマッシュアップ】
 数年前までだとオリジナル作品を制作するにもレンタルサーバーの容量制限やネット回線の遅さ等で、作品を十分に公開出来なかった。
 そのため自身のサイトではイベント参加の告知や作品のダイジェスト公開に留め、作品本編は上映会での上映やイベントで頒布というのが常だった。オリジナル作品に関しては、コンテストを兼ねてコンテンツの募集を行っている企業や団体のサイトにアップロードするという手段が取られた。

 その点は、ここ1、2年の各種動画共有サイトの登場で解消されている。ところが、二次創作と共に掲示板やアップローダーで流通していたMADムービーも現われた。
 マスレベルでの知名度を持つTVシリーズや劇場長編を素材としたこれらの作品はアクセス数にも反映されやすく、オリジナル作品が埋もれてしまいがちである。この現象は単にファン層が異なるからと別には出来ない。常に混在しているからだ。

 同様に、広報や宣伝でネットを活用する場合は新しく登場するサービスで情報の流れがガラっと変化してしまう。また「初音ミク」など、違う切り口から登場したツールを利用した作品が動画として競合相手になってしまうようにもなった。
 開発者や著作権者の意向と閲覧者の嗜好を含むネットの動向、そしてクリエイターの志向という主だった3つの力関係が時に立場を変えつつ日々せめぎ合っている。そのバランスの見極めがますます困難な時代になっている。
【真狩祐志】
《animeanime》
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