11月17日、米国の日本アニメの違法配信ファイルを紹介する大手サイトAnime Sukiのフォーラムに、少し奇妙な投稿が掲載された。この投稿はAnimeSukiのスタッフ自身によるものである。
 投稿によれば米国の大手ISPであるコムキャストが、同社のインターネット接続サービスを利用しているユーザーのうち、アニメ作品の違法なファイルをダウンロードした者に対して違法行為として警告を送っているというものだ。

 もっとも、AnimeSukiのファーラムの投稿記事は、サイトの利用者からの情報に頼っている。またその後のフォロー記事を見ると、その警告がどうしたルートによるのか曖昧で、現在は行っていないなど情報が錯綜している。実際にそうした事実があったのかどうかさえ疑われる状態である。
 投稿によれば今回警告された作品には、現在日本で人気の高い『素敵探偵ラビリンス』、『機動戦士ガンダムOO』、『瀬戸の花嫁』、『ながされて藍蘭島』、『しゅごキャラ!』、『ひぐらしのなく頃に解』が含まれている。

 実際に警告が行われたのかは定かでないないが、今回のニュースはアメリカのファンに衝撃を与えた。それは、これが違法ファイルのアップローダーでなくダウンローダーが対象になっているためである。
 さらにこれらがアメリカでライセンス獲得が発表されていない作品であるため、日本の権利保有者が直接対策を要望したと考えたからでもある。

 実際に作品が人気作品に偏っていること、作品の権利者がばらばらであること、コムキャストがそうした行動を起こす理由が掴めないことから俄かには信じがたい情報である。
 しかし興味深いのは、こうした噂の広がりのほうである。アメリカのファンがそれを信じやすくなる状況が生まれていることだ。これまで当然の権利かのようにファンサブを利用してきたアメリカのアニメファンの心理に少なからぬ変化が起きている。

 それは今年8月以降、アニメ関連で起こった幾つかの事件が理由となっている。ひとつは米国のアニメDVD流通3大企業のひとつであったジェネオンエンタテインメントUSAの市場からの突然の撤退である。
 2番目は、シンガポールのアニメDVD流通・販売会社Odexによる、アニメ作品の違法ダウンロードを行なった一般ユーザーを告訴する動きである。現在Odexは深刻な経営不振に陥っており、この告訴の対象には小学生まで含まれていた。
 そして最後は、日本政府が米国政府に提出した市場改善の要望に、アニメをはじめとする違法配信問題が取り上げられたことである。

 つまり、アメリカのアニメファンは、アニメ作品の違法ファイル交換が、日本、アメリカ、さらにアジアのアニメ関連企業の経営を深刻に脅かしている(少なくとも企業サイドはそう考えている)と感じはじめている。 
 また今後、そうした企業が違法ファイルを本格的に取り締まるかもしれないとも感じているようだ。実際に、そうした取り組みはなかなか難しいのだが、そうした状況をより深刻に受け止める状況になっている。

 これは日本の側から見ると、アニメの違法ファイル交換の問題が多少は良い方向に向かっている表れである。大量に流通するファンサブが直ぐに止められないものだとは判っていても、それが本来は法の外にあることは、アニメファンには理解して欲しいからだ。それを理解してもらうことが出発点となる。
 実際に一昔前であれば、こうしたニュースの後には、アメリカのアニメサイトのフォーラムは企業批判で溢れることが多かった。しかし最近では、冷静に企業の立場や法律的な問題に言及する意見も増えている。

 日本の企業がいまするべきことはこうした状況を逃さずに、ファンサブを生みだしたファンのニーズに対応することである。つまり、時差のない作品のリリースや、テレビ放映の増大や合法的なオンライン配信でアニメを安く観たいというニーズに応えることである。
 現在大きな問題であるアニメDVD市場の現状も、そうした延長線上で解決に向かうのでないだろうか。

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