JAM2007 中国インターネット配信市場の現状報告 レポート | アニメ!アニメ!

JAM2007 中国インターネット配信市場の現状報告 レポート

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 10月5日にJAM(Japan Animation Contents Meeting)2007の企画のひとつとして、「中国インターネット配信市場の現状報告」と題した講演会が行われた。
 講演会は2部構成で、1部では「中国におけるテレビ番組派生市場の現状」と題して、ジェトロ北京センターの吉川明伸氏が中国における映像コンテンツの2次展開ビジネスの可能性についてふれた。
 また、2部では「中国インターネット市場の現状報告」で、上海倹欣物業者管理有限公司の兪増徳氏が中国の映像コンテンツ配信ビジネスの現状を解説した。

中国におけるテレビ番組派生市場の現状
 第1部で特に興味深かったのは、海外企業でなく中国国内のアニメ企業が2次展開ビジネスに大きな関心を寄せていることだった。
 中国企業が2次展開ビジネスに関心を持つのは、アニメ番組の制作費がテレビ放映だけで回収出来ないためである。実際に今回の講演によると、中国のテレビアニメの制作費は1分およそ9万円(30分番組200万円程度)、ところがアニメの一般的な放映権料は1分450円から750円(同1万円から2万円弱)である。
 こうした制作費と放映権料の大きなギャップが、中国のアニメ制作会社が2次利用ビジネスに進む大きな動機になっているという。

 興味深いのは、制作費と放映権料のギャップは、程度の差はあれ日本でも見られることである。さらに日本アニメのテレビ放映権料が極端に安くなっている北米でも同様の現象がある。放映権料でなく、2次利用ビジネスで投資資金を回収するのは、世界的な潮流なのかもしれない。
 しかし、日米と違い中国市場には可能性としての2次利用のビジネスはあっても、まだ市場の仕組みが固まっていない。現段階では将来市場が拡大する可能性が高いが、今すぐに利益を出すのは難しい。

 日本のアニメ番組は、現在、中国でのテレビ放映が大きく制約されている。しかし、テレビ放映自体がビジネスにならないならば、無理にテレビ放映をする必要はないという考えもある。
 幸か不幸か、日本のアニメ番組の多くは、海賊版を通じて中国の消費者に広く知られている。テレビ放映なしでも二次展開のビジネスが成り立つ奇妙な状態が起きている。

 それは講演者が指摘した、『ガンダム』のテレビ放映はされていないが、『ガンダム』の関連商品を中国市場で展開しているバンダイなどにあてはまる。
 そうした状況が正しいかは別の問題だが、少なくともそこには1次ビジネスを飛ばして2次ビジネスだけが成り立つ中国の不思議な現実が存在する。

中国インターネット市場の現状報告
 続く上海の兪増徳氏の講演「中国インターネット市場の現状報告」も非常によくまとめられていた。直接アニメにふれる場面は少なかったが、あまり知る機会のない中国のインターネット配信ビジネスについての有益な情報で溢れていた。
 また、中国のインターネット配信ビジネスの魅力と将来の可能性についてよく理解できた。しかし、日本アニメ関連のビジネスの可能性がそこにあるかというとやや懐疑的になる。

 例えば最後の来場者からの質問に、「インターネットで配信する作品には、放送や出版のような当局の審査はないのか?」というものがあった。
 それに対する講演者の答えは「当局は既存のTV放送作品の審査で手が一杯で、インターネットについては無審査状態」である。だからインターネットでの配信は魅力的であるというわけである。

 それは裏を返せば、いつ現在の状況が変わるかわからないということも示している。実際に、中国市場の持つリスクはまさにこの点で、いつ状況が変わるか判らないという未来に対する不確実性である。
 それは過去にアニメ番組のテレビ放映や、モバイルビジネスなどで既に起こってきたことでもある。今回、中国のインターネット配信ビジネスの現状を説明されながら、その市場の魅力は十分理解出来た。しかし依然アニメにとってはリスクが大きい、ハイリスク・ハイリターンの市場との印象を拭うことは出来なかった。

JAM(Japan Animation Contents Meeting)2007
/http://www.jam-anime.jp/

中国インターネット配信市場の現状報告
2007年10月5日 

1部 中国におけるテレビ番組派生市場の現状
講演者:ジェトロ北京センター 吉川明伸

2部 中国インターネット市場の現状報告
講演者:上海倹欣物業者管理有限公司 総経理 兪増徳氏

主催:中間法人日本動画協会、経済産業省、日本貿易振興機構(JETRO)
《animeanime》
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