8月30日から9月3日まで「第65回世界SF大会/第46回日本SF大会 Nippon2007」が横浜市中心部のパシフィコ横浜で開催される。世界SF大会はその名前の通り世界の最大のSFのお祭りである。期間中は世界中からSFファンが集まり大きく賑わうことになりそうだ。 世界SF大会はワールドコンとは呼ばれるが、実際にこれまでアメリカ・カナダ以外の国で開催されたのは過去64回の開催でわずか11回である。今回の日本での開催は日本初であるだけでなく、アジア初でもある。日本のSFファンダムにとっても意義の大きなイベントと言えるだろう。 またSF大会の名前からやや堅苦しく感じるが、イベントのなかで扱われるテーマにはアニメやマンガ、特撮からライトノベルなどポップカルチャーのあらゆる周辺領域が含まれている。 例えば今回のNippon2007にも、アニメに関係深いクリエイターからは押井守氏、神山健治氏、出渕裕氏、河森正治氏、辻真先氏、安彦良和氏らがゲストの名前として挙がっている。さらに、マンガ家では永井豪氏、萩尾望都氏らの大御所の名前が並んでいる。 そこで今回は5日間にかけて開催される大量の企画のなかから、アニメとマンガに絞ってピックアップしてみた。 まず大きな見所は、徳間書店の主催する2つのアニメシンポジウムである。ひとつは今やマニアの間で話題騒然の『電脳コイル』を取り上げた「『電脳コイル』を語ろう!」。 もうひとつは出渕裕氏、河森正治氏らをゲストに招いた「メカ・デザインと監督のおもしろさ」になる。いずれもアニメを正面から取り上げたシンポジウムになりそうだ。 『スカイ・クロラ』や『攻殻機動隊 S.A.C』などの大作アニメで話題を呼ぶ、押井守氏、神山健治氏の顔合わせも話題となるだろう。ただしテーマは『真・女立喰師伝』とぐっとディープになる。 美術監督武重洋二氏がゲストとなる『ゲド戦記~背景美術の世界』では、最近、脚光を浴びつつあるアニメの背景美術が話題になる。 そのほか『ケロロ軍曹にみるリーダーシップ ~彼の地球侵略プロジェクトは進んでいるのか?』や『ハレ晴れユカイを踊ろう!』といった謎の企画もありバラエティに富んでいる。 マンガ関連では全部で6つの企画から構成されるコミックマーケット協力企画が目玉になりそうだ。コミケの歴史から、SF大会と関係、オタク業界様々な面からコミケにスポットライトがあたる。 今年『バルバラ異界』でSF大賞を取った萩尾望都が自らゲストとなる「『バルバラ異界』と『ポーの一族』のはざま ~はるかなる不死の夢によせて~」も注目を浴びそうだ。 企画の数はあまりにも多く、5日間に亘るとはいえ時間帯の重なるものも多い。最初から全部参加は難しい。参加する人は事前に入念はスケージュール立てが必要になるだろう。「第65回世界SF大会/第46回日本SF大会 Nippon2007」公式サイト/http://www.nippon2007.org/jpn/index.shtml《Nippon2007アニメ・マンガ・オタク関連主要企画リスト》(8月30日)13:00- やさいのようせい/N.Y.SALAD上映ゲストオブオナー天野喜孝氏のキャラクターによるアニメの上映会13:00- アニメのヒロインアニメにヒロインを外国人女性が語る。リリアン・チェルニカ、レネ・ウォーリング、テリー・オブライエン13:00- ヤングキングのマンガ家さんと遊ぼう少年画報社のヤングキングの編集さんとマンガ家さんが出演。大野正佑、大石まさる、才谷ウメタロウ17:00- 知られざる日本のアニメ/マンガ西欧で受け入れられてこなかった日本のマンガ/アニメの商会。中垣恒太郎,鈴木・CJ・繁(8月31日)10:00- コミックマーケット協力企画1 コミックマーケットとは何か里見直紀12:00- 手塚治虫はこうして生まれた日本のSFマンガ・アニメに多大な影響を与えた手塚治虫を語る。加藤丈夫、夢枕獏、島田喜美子14:00- やおいパネルディスカッション~やおいVS.スラッシュ・フィクション世界的に同時多発した女子文化やおいとスラッシュ・フィクションの違いを比較しその魅力に迫る。小谷真理、アン・ハリス、エイミー・トムソン、ひかわ玲子、大串尚代、金田淳子、野阿梓、柏崎玲央奈14:00- ヲタクエクスプレス 東京発モスクワ行き14:00- 早川書房協力企画 星界の伝説森岡浩之、赤井孝美16:00- 日本特撮TVヒーローの現在16:00- 知財としてのSFマンガ・アニメ~文化を発信する国としてクリエイターが語る知財としてのSFマンガとアニメ。辻真先、永井豪、鈴木陽悦、樋口晴彦、島田喜美子16:00- コミックマーケットとSF大会コミックマーケット前代表米澤嘉博の足跡とSF大会とコミックマーケットの関係を語りる。安田かほる、米沢英子、井上博明16:00- 早川書房協力企画 ダーティペアの大破壊高千穂遙、安彦良和16:00- ゴジラ1954秘蔵資料を使って第1作ゴジラ(1954)を語る。ボブ・エグルトン、隅谷和夫17:00- オープニングアニメーションパネルディスカッション開会式に上映されるオープニング・アニメ制作スタッフによるパネルディスカッション。秋田紀亜(9月1日)10:00- ケロロ軍曹にみるリーダーシップ ~彼の地球侵略プロジェクトは進んでいるのか?プロジェクトはいっこうに進んでいないようにみえるケロロの各種オペレーションを検証。島田喜美子、尾山ノルマ、いかちょー (五十嵐智)10:00- コミックマーケットとオタク業界12:00- 平山亨氏と語る「石ノ森章太郎が生んだスーパーヒーローたち平山亨、青柳誠、ショッカーO野13:00- Del Rey出版予定14:00- おたくスタディーズ Otaku14:00~ 日本SFと映像の親和性/「談話室オヤカタ」スペシャル(公開録音) 笹本祐一、大沼弘幸、池田憲章、巽理恵14:00- コミックマーケット=SFコミックマーケット代表による、コミックマーケットの理念や目的、SFとの関わりについての基調講演。市川孝一14:00- おたくスタディーズ網状言論F改」のメンバー+αによるおたく論のディスカッション。東浩紀、伊藤剛、金田淳子、斎藤環、竹熊健太郎、マーク・ドリスコル、永山薫、小谷真理16:00- アニメ・シンポジウム 徳間書店主催「電脳コイル」を語ろう!山本弘、五十嵐浩一、池田憲章 (司会)16:00- すごい科学で守ります!東映スーパー戦隊SF考察16:00- 『バルバラ異界』と『ポーの一族』のはざま~はるかなる不死の夢によせて~今年のSF大賞受賞作『バルバラ異界』と『ポーの一族』。作者を迎えて、その作品構造を聞く。萩尾望都、小谷真理、島田喜美子17:00- バンダイビジュアル予告ビデオ上映(9月2日)10:00- 日本アニメ上映10:00- 日本特撮の映像快感 映像がSFを語りだす日本特撮を語る上ではずせない重要な作品を見ながら池田憲章が、1時間30分語る。池田憲章10:00-コミックマーケットの文化的価値東京大学講師の吉田先生を招き、コミックマーケットの日本のコンテンツ史における役割や展望を語る。12:00- アニメと実写の差異 新作映画『真・女立喰列伝』を語りながら『真・女立喰列伝』の押井守監督、神山健治監督がアニメーションの演出と実写映画の演出の違いと魅力を語る。押井守、神山健治、大野修一12:00- 第38回星雲賞授賞式14:00- ゲド戦記~背景美術の世界「ゲド戦」の美術監督を務めた武重洋二氏が、ゲド戦記における背景美術の魅力を語る。武重洋二、井上博明14:00- コミックマーケット伝説コミックマーケットでおこった面白い出来事や黒歴史について、コミックマーケット代表と有志が語る。市川孝一、里見直紀14:00- 日本のCGはゲームで変った山崎貴、大手ゲーム会社ムービー担当者4名16:00- アニメ・シンポジウム 徳間書店主催「メカ・デザインと監督のおもしろさ出渕裕、河森正治、大野修一、池田憲章 (司会)15:00- 聖咲奇空想音楽大作戦2007 / 串田アキラ ヒーローソング ライブ! 作曲家・渡辺宙明と、歌手・串田アキラをゲストに迎える。16:00- ハレ晴れユカイを踊ろう!練習から始まり、最後にみんなで踊る。(9月3日)10:00- 「機動戦士ガンダム 戦場の絆」作戦会議藤原伸之介、雷門風太(杏東ぢーな)8月30日~9月3日までエキビジョン企画ウルトラマン40周年ゲド戦記背景美術*上記の内容は8月27日付の世界SF大会公式サイトの内容を参考にしております。主催者都合による企画や出演者の変更の可能性があることをご了承ください。