アニメ検定 トークセッション第1回講義 桃井はるこさん | アニメ!アニメ!

アニメ検定 トークセッション第1回講義 桃井はるこさん

イベント・レポート

 11月に開催される『全国総合アニメ文化知識検定試験』に向けてのトークセッションが8月4日に、文京学院大学本郷キャンパスで行われた。トークセッションは全9回行われ、9月から11月にかけて月におよそ3回のペースで行われる。
 トークセッションは既に発売中の公式問題集の分野別に行われる。第1回目の今回は、「声優と音響 音楽と主題歌」をテーマに、声優の桃井はるこさんが講師を務めた。桃井さんは、声優としてだけではなく、数多くの主題歌を含めた歌手活動も多く、ファン目線と業界内の両方を知る彼女は、今回のテーマにはうってつけの人材だといえよう。

aniken ms momoi.JPG 夏の暑いさなかであったが、会場はテーブル席に加え、椅子席まで用意するなど、全体で100名の「生徒」で賑わいをみせた。
 桃井さんは、初めて大学の教壇に立つということで、黒のパンツスーツ姿で登場。ライブやラジオの雰囲気とは違い、最初の挨拶こそ笑いをとったものの、「今日は真面目にいきます」と、桃井先生モードで講義を始めた。
 講義はテキストの「声優と音響 音楽と主題歌」テーマ部分に、解説を加えていくというスタイルで「他のヲタに差をつける!」と豪語し、業界内部の詳細にまでわたって解説を進めた。

 最初は、配役決定や演出と録音仕上げ全てをリードする「音響監督」に関する問題。アニメのアフレコ現場では、2人の監督が存在するとまで言われるほど、音響監督の役割は大きいという。
 講義では、実際にアフレコがどのような手順を踏んで行われるかについて順を追って解説がなされた。ゲームとは違い、アニメの場合は全員が揃ってアフレコをすることや、マイク位置を決めることが説明された。
 また、フィルム時代と違い、ビデオは止めることは可能と言われるが、実際は演技を始めたら止めずに、各パートを録り終えるとのこと。ただし、ステレオ録音を録る時は別録りになるという。収録時間は30分番組1本につき、5時間くらいかかるそうで、ラストテストでは保険のために収録もしているらしいとのこと。声優は役作り、マイクの位置、別録り、ノイズ、ガヤなど一般に想像される以上のことが現場ではこなされているようだ。

 リップシンク[問題105:音声と動画(唇)の同期のこと]については、現場での専門用語(隠語)を披露。口の動きよりも先に台詞を言い終えてしまうNGを「早あがる」というようである。また、いわゆる収録現場で見られるような、全ての絵付きというのは、現在の制作状況からは、ほとんどなく、コンテや原画にマークがついて、それに合わせて喋るようである。
 現在行われているのは、アフレコとプレスコの間の形式だと考えているそうだ。また、全ての絵がないことは必ずしも悪いことばかりではなく、演技に絵を合わせてくれることもあるそうだ。

aniken ms momoi2.JPG 次は「音楽と主題歌の話」をテーマに話を進めた。主題歌にはコンペがあり、デモを作るところから始まる。候補作はプロデューサー以上と製作委員会の人々が判断し、OKが出ると、完成に近い「スポッティング用」を作成する。不採用となった曲はストックされるという。
 ここで、アレンジャーの話題が話に上った。現在は、アレンジャー=編曲者と括りにできないほど、アレンジャーの役割は多様化しており、歌メロ以外のパートの編曲はもちろん、DTMの場合はエンジニアの仕事や、仮歌まで入れるなど、役割は多岐にわたるという。
 その後、レコーディングをし、トラックダウン(楽器間のミックス作業やバランス取り)、マスタリングを経て完成となる。ここで、桃井さんの新曲で『瀬戸の花嫁』の主題歌『Romantic summer』をサンプルに、デモ用、テレビ用、CD用の聴き比べが行われた。ファンには貴重な機会となったことだろう。

 また、現在はレコード会社とスタジオが作品単位で仕事をするので、音響の善し悪しがかつてのようにレコード会社単位で比較するものではなくなってきている。マニアの人はCDに書かれているクレジットを見て、作業者単位で評価をするとのことである。
 よくテレビとCDでは音の聞こえ方が違ってくるというが、その場合は単純に再生機器の違いから、採用したテイクの違い、トラックダウンの違い、マスタリングの違いまで様々だという。

 講義は専門的な内容が多かったにも関わらず、聴衆の理解度は高く、「アニメ検定」に出題される内容を遙かに超えた、内容の濃い講義となった。
 普段、ラジオで喋り慣れているだけあって進行もスムーズで聴衆の満足度は高かった模様で会場を後にしていた。

 次回は、9/2(日)13:30より同会場で、サンライズ作品『舞-HiMe』『アイドルマスター XENOGLOSSIA』のプロデューサーである古里尚丈さんを招いて「作品と物語、作家とスタジオ」をテーマに講義が行われる。
【日詰明嘉】

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