ハルヒDVD 米国で6万セット販売 YouTubeも貢献?

レビュー そのほか

 角川グループホールディングス(角川GHD)は、アニメや映画、ライトノベルからマンガ、情報雑誌まで様々なエンタテイメントコンテンツを持つ日本有数の企業である。
 その角川GHDは過去1年でモバイルやインターネット上でのコンテンツ事業に積極的に関わろうとしている。先日も動画投稿共有サイトのYouTubeとの連携で注目を浴びたばかりである。
 こうした角川グループの動きに対し、日本経済新聞は8月5日の朝刊で、「そこが知りたい 自社コンテンツのネット配信 なぜ積極化?」と題し角川GHDの角川歴彦会長にインタビューを行っている。 

 このインタビューでは、同社のネット戦略について様々な興味ある言葉を引き出している。なかで角川会長の「国内で八万セット売れて喜んでいたアニメDVDの英語版を出したところ米国だけで六万セットも売れた」(日本経済新聞8月5日)といった発言は、アニメビジネス関連として興味深い。
 角川グループが日本で8万セット売ったとするアニメ作品は、その数から考えて、国内で各巻8万セットを販売したとされる『涼宮ハルヒの憂鬱』と考えられる。

 『涼宮ハルヒの憂鬱』の第1巻は、米国では通常版29.98ドルとリミテッドエディション64.98ドルの2種類でこの5月に発売された。人気作品のDVD発売として、米国内で大きな話題を呼んでいた。
 これまで米国のメディアでもDVDの売上は好調だったと伝えられていたが、こうした具体的な数字が言及されたのは初めてである。
 また、米国のみの6万セットの販売は、米国のテレビで放映されていないシリーズ作品のDVDではメガヒットである。米国でのハルヒブームは、日本で感じていた以上に大きなものだったと言えそうだ。

 このインタビューでの角川会長のさらに興味深い発言は、「ユーチューブが米国市場を地ならししてくれた効果だ。」(日本経済新聞8月5日)と述べていることである。
 これまでファンサブやYouTubeなどの違法動画配信に、作品のプロモーション効果があることは、ファンサイドからは指摘されることはあった。

 しかし、コンテンツの権利保有を行う企業のトップがそうした認識を示したことはあまり例がない。角川会長は、同社がYouTubeによる著作権侵害の最大の被害者であることも述べており、著作権侵害を認めているわけではない。また、著作権を尊重出来る仕組みが必要とし、権利の保護に触れている。
 それでも、こうしたYouTubeのプラスの面も無視出来ないとの認識もあるようだ。これが先日の角川グループとYouTubeの連携につながっていると見られる。
 角川グループは、YouTubeが現実にメディアとして大きな力を握っている以上それを利用して行こうと考えているようだ。

 もしそうであれば、これは動画共有サイト、コンテンツ保有者、動画投稿者の3者の幸せな共存にも見える。しかし、実際には今後の課題も少なくない。一番大きなものは、動画を投稿する利用者の動向である。
 角川グループは投稿されてきた自社関連の動画を、プロモーション効果と著作権侵害で失う利益とのバランスを考えながら削除するか判断するようだ。こうした際に明確な基準が示せなければ、利用者の大きな不信を買う可能性がある。
 さらにネットに違法動画を配信するユーザーたちは、インターネット特有の自由な文化のなかにいる。投稿した後に、権利保有者に投稿動画が検閲され、選別されること自体に反発する可能性もある。

 そうなると権利ホルダーは自社の顧客が沢山いるつもりでビジネスに参加したが、そこに誰もいなかったということも起こりうる。
 それでもインターネットのコンテンツ配信ビジネスは変化のスピードが速い。とりあえずはビジネスの中心地におり、そのなかでビジネスの効果的な方法や、次のビジネスを探す姿勢が重要であるとは言えるだろう。

日本経済新聞 /http://www.nikkei.co.jp/

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角川グループホールディングス /http://www.kadokawa-hd.co.jp/
YouTube  /http://www.youtube.com/
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