アニメエキスポ 米国アニメファンダムの変化は現在進行形 | アニメ!アニメ!

アニメエキスポ 米国アニメファンダムの変化は現在進行形

レビュー イベント

 6月29日から7月2日まで、カリフォルニア州ロングビーチで北米最大規模のアニメコンベンションであるアニメエキスポ2007が開催された。
 1992年から今年で15年目、7月2日に発表された参加者数は、史上最高の44000人以上と昨年の41000人を上回った。最早、参加者記録の更新は、恒例行事と化しているようだ。

■ 明るさを取り戻した企業
 こうしたコンベンションの巨大化が、アニメファンがまだまだ健在であることを示しているせいか、現地のアニメ関連企業はいずれも現状に対してポジティブに見えた。
 ここ数年、米国のアニメビジネスと言えば、DVDの売れ行き不振に代表される市場縮小といった暗い話が多かった。しかし、ビジネスパネルや個別企業の開催するパネルでは、各社がアニメビジネスの展開に自信を持った発言が多かった。

 多くの企業はDVDが売れない現実を前提に、様々な新たなビジネスを模索し始めている。それは、インターネットであったり、ケーブルテレビ放映であったり、メディアミックスであったり、さらにマーケティングを変えることでDVD販売を伸ばす試みであったりする。
 そうした状況は、期間中に次々に発表された新規アニメ番組、マンガ作品のライセンス獲得にも表れている。

■ アニメ文化の大衆化とアメリカ化は同時進行
 また、米国のファンの大衆的な広がりは、前回同様であった。参加者の人種的な広がりはさらに続いていた。こうした大衆的な広がりの一方で、今回は大衆化と同様にアニメの現地化がより深まっているように感じた。
 それはコンベンションの目玉のひとつが『トランスフォーマー』の上映会だったことに代表される。日本のアニメイベントであればまず考えられないこの企画は、米国人にとって『トランスフォーマー』がアニメ文化と連続していることを示している。そこには日本人と異なる文化の認識が存在する。

 現在の米国のアニメファンダムは、アニメファンの基盤が急激に築かれた日本の1980年代の状況によく似ている。急激に関連企業が一般企業化し、ファンイベントが巨大化し、アニメ関連メディアやアニメ評論家が認められ、アニメ業界という構造が形成されつつある。
 しかし、それが日本の状況と似ているからといって日本と同じ方向に進むとは限らない。

 例えば、AX自身。パネルと呼ばれる講演会形式のイベントとステージイベントを中心とする形式は、日本のアニメ・マンガファンの間では見られない。また同人誌はあまり盛況でなく、同じ二次創作では映像と音楽を組み合わせたマッドビデオと呼ばれる動画が大人気である。
 そして、コスプレ。米国のコスプレはいまや完全に日本のコスプレと異なる次元に入りつつある。AXの会場を歩けば、参加者のコスプレ比率の高さに驚かされる。また、コスプレで演じられるキャラクターのバリエーションの広さは日本を凌駕している。いまどきセイラやシャアのコスプレが、日本のコスプレ会場で見られるだろうか。
 日本ではコスプレはコスプレ愛好家のもの、また参加者も女性が多い。しかし、米国のコスプレはマンガやDVDを買うぐらい手軽なもののようだ。それだけに老若男女あらゆる種類の人たちがコスプレを行っている。

 勿論、マニア特有の微妙な部分で万国共通なものも多い。また、米国のアニメファンの間にはアニメの原産地である日本に対する強い憧れがある。
 こうした日本と似た部分や米国のファンが日本に惹かれる部分と、日本と異なる部分や日本のアニメ文化から離れて行く部分が同時に進行している。それが現在の米国アニメ文化の状況である。
 こうした相反する状況だけに、米国のアニメ界を文化としてもビジネスとしても理解するのは益々難しくなって来ている。

■ 史上最大と史上最悪の狭間
 今年のAXを語るうえで、やはり開催運営に対して噴出した多くの問題を避けることは出来ないだろう。今回のコンベンションの目玉とされた日本からのゲストによる6大コンサートをはじめ、会場の運営トラブルが続出した。
 このほかにもプレス対応についても問題があるなど、AXの運営事務局が期間中かなりの混乱状態になっていた。

 今年なぜこれほど多くの問題が起きたかは、北米最大、史上最高というAXの規模そのものに理由があったと思われる。参加者とイベント、そしてAXのブランドの拡大が、非営利団体・ボランティアのAXの運営能力を超えてしまったためである。
 これまでもAXのイベント開催の遅れは多かったし、その運営に甘さがあることは度々指摘されていた。今回、日本の大物アーティストを多数招聘したことで、そうした問題が一気に噴出したと思われる。
 北米最大のイベントに企業やファンが期待するものと、AXの実際の運営可能領域とのギャップが大きく乖離してしまった。それは非営利、ボランティアとして日本アニメを振興するSPJAの限界でもある。

 そうしたギャップを埋めることが出来なかった、あるいは気づかなかったAXの運営の不手際は明らかである。しかし、だからといってAXが無価値ということはない。
 実際に今回のコンベンションに来て本当に良かった、楽しかったとするクリエイターは多い。それは参加したファンにとっても同様である。
 これからもAXの開催が続くことが、アニメファンや日米のアニメ関係者にとって重要であると思う。そのためにはAXが今回の問題を認識し、コンベンション運営のためによりプロフェッショナルな人材を招く必要があるのでないだろうか。

アニメエキスポ公式サイト /http://www.anime-expo.org/
《animeanime》
【注目の記事】[PR]

特集