7月28日に公開を控えた夏休みのアニメ映画『河童のクゥと夏休み』をテーマにしたスペシャルトークイベントが、6月5日に東京・有楽町よみうりホールで開催された。 今回のスペシャルイベントは、『河童のクゥと夏休み』の初の一般公開試写会であると同時に、6月5日の世界環境デーのアピールも目指したものである。これは『河童のクゥと夏休み』が豊かな自然の大切さを描き出していることから実現したものである。 イベントに先立って環境省の鷺坂審議官が挨拶に立ち、世界環境デーが設けられている理由と地球温暖化防止のアピールを行った。 さらに映画に登場する河童のクゥが地球環境を守る「チームマイナス6%」チーム員になるべく、クゥの声優役冨澤風斗さんがクゥにチームバッジを授与するデモシストレーションが行われた。 それに引き続き映画の監督である原恵一さんと解剖学者、また『バカの壁』の著者で知られる養老孟司さんとのビッグな対談が行われた。 二人はこれまで面識はなかったという。しかし、緊張しているという原監督であったが、トークでは気の合ったところを見せた。養老孟司さんは原監督を「映画の通りの人」とそのやさしい人柄を表現するなど、どこかしら相通ずるものが合ったのかもしれない。 また養老孟司さんは「僕はファンタジーが好きだから、とても楽しく観れた」と映画を評した。 トークは養老孟司さんによる米国や中国、ロシアなどの二酸化炭素を多く排出している国に対して日本はもっと発言すべきといった厳しい話題から、原監督の今回の映画のきっかけまで幅広い範囲に及んだ。 原監督によると、映画の原作に木暮正夫さんの『かっぱ大さわぎ』、『かっぱびっくり旅』を選んだのは、自然というよりもいろいろなことを盛り込めそうな物語と思ったからである。そのうえで、東久留米や以前から何度か訪れたことのある遠野を舞台にしているという。 原監督も語るように、映画自体は声高に自然環境を訴えるものではない。それでも映画を観るなかで、河童のクゥが生きる場所のなくなった現代の日本に、自然環境の大切はメッセージとして伝わったに違いない。 『河童のクゥと夏休み』は子供向けの映画としては、2時間を大きく越えるかなりの大作となっている。しかし、映画は途切れることなく続く物語で飽きさせることはない。むしろ、アニメ映画にありがちな説明不足がなく、無理なく映画に入り込める。映像と物語の双方に、丁寧に作られた深さを感じさせる。 毎年、夏休みには多くの子供向け映画が公開される。しかし、そのなかで今年は『河童のクゥと夏休み』が、子供に見せたい映画の筆頭になりそうだ。 『嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』で世のアニメファン・映画ファンを驚かせ、『嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』で多くの大人と子供を泣かせてから5年。原恵一監督の新作アニメは、相変わらず人の心を動かすことに巧みである。 また、子供のためのモノというアニメの本来的な役割を十分意識した作品を世の中に送り出すことに成功している。 「河童のクゥと夏休み」 公式サイト /http://www.kappa-coo.com/7月28日(土)シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー原作 : 木暮正夫 (「かっぱ大さわぎ」「かっぱびっくり旅」より)脚本・監督 : 原 恵一キャラクターデザイン・作画監督 : 末吉裕一郎美術監督 : 中村 隆色彩設計 : 野中幸子撮影監督 : 箭内光一音楽 : 若草 恵音響監督 : 大熊 昭編集 : 小島俊彦アニメーション制作 : シンエイ動画題字 : 武田双雲製作 : 「河童のクゥと夏休み」製作委員会配給: 松竹協力: 日本子守唄協会 支援: 文化庁6/5世界環境デー スペシャルトークショー映画「河童のクゥと夏休み」試写会場所: 有楽町よみうりホール日時: 6月5日(火)世界環境デー後援: 環境省河童のクゥ「チームマイナス6%」チーム員宣言 河童のクゥ(ぬいぐるみ) / 冨澤風斗 (クゥの声)「世界環境デー」スペシャルトークショー ゲスト 養老孟司 / 原恵一
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