第19回CGアニメコンテスト入選作決定アニメの多様性示す | アニメ!アニメ!

第19回CGアニメコンテスト入選作決定アニメの多様性示す

イベント・レポート

 5月5日、東京・中野のなかのゼロホールで、第19回CGアニメコンテストの東京上映会と入選作の発表、表彰式が行なわれた。
 CGアニメコンテストは、自主制作のCGアニメーション作品の発表の場を設け、一般に広く紹介することを目的としている。日本を代表するCGアニメーションコンテストのひとつである。

 CGアニメコンテストは、募集作品を幅広いアニメーションとしているところにも特徴がある。今回の入選作、受賞作は、そうしたCGアニメコンテストの特徴が色濃く現れていた。
 2Dと3D、そのハイブリッド、アートアニメーションと商業アニメーション的な作品、一発ギャグ的な作品、様々な異なる要素が同時に並んでいるからだ。
 
 例えばハイレベルのナンセンスさで笑いを取った『むきだしの光子』(谷口崇)のあとに、高度な3Dの動きと変化をひたすら見せる『HONEY CAM』(御幡駿)が続くといった具合だ。
 しかし、これらは統一感がないと思わせる一方で、日本のインディーズアニメーションの現場で起きている多様性、表現の豊かさを感じさせてもいる。重要なのは表現手段の統一性でなく、上映会に集まった作品がそれぞれに非常に高いクオリティーを実現していることにある。
 
cganime2.JPG それでも応募作品の傾向はあるようだ。CGアニメコンテストを主催するDoGAのかまたゆたか代表によれば、今年の特徴は例年に比べて3Dが頑張っている、2Dと3Dのハイブリッドが目立つ、卒業制作作品の応募が増えているとのことである。
 今回も質の高い作品が揃い12の入選作と佳作2作品、エンターテインメント賞、映像賞、作品賞の各賞が決まった。しかし、グランプリは今年も前回に続き該当作品がなかった。個性的な作品が多く、審査委員全員の総意となる作品がないということが背景にありそうだ。

 受賞作品のなかで特に興味深かったのは、エンターテイメント賞の『放課後決闘クラブ』(KAN)と映像賞の『nakedyouth』(宍戸幸次郎)である。かまた氏によれば、今年の作品選考では、審査委員たちの評価が両極端に分かれるものが非常に多かったという。そして、そうした作品のなかで特に評価の分かれた作品としてこの2作品に言及している。
 作品の優劣の評価を離れても、この2作品は特に際立った作品であった。それはそれぞれの作品が、別々の意味で極めて日本アニメ的な作品であったからだ。

 まず、両作品に共通するのは、2Dと3Dの高度なハイブリッドであることだ。『放課後決闘クラブ』は主にキャラクターアニメーションを2Dで、ロボットシーンを3Dとしている。また、『nakedyouth』は3Dの背景のなかに、いかにもマンガ風のキャラクターが2Dで置かれている。
 両作とも表現の技術は傑出しており、ふたつの表現が違和感なく成立している。そこが日本のアニメーションの現在を示している。

 もうひとつ日本を感じさせるのは、物語のテーマの選び方とその表現方法である。『放課後決闘クラブ』は『新世紀エヴァンゲリオン』の影響を示唆するように、日本のロボットアニメの歴史に連なっている。下手をするとその高度な模倣と見られる危険があるだろう。
 しかし、この学校という日常とロボットに乗って戦うという非日常が同居する特異性こそが、日本アニメの独自の文脈である。冷静に考えればかなり違和感のある取り合わせで、日本アニメの文脈の理解でしか成り立たないものなのだ。

cganime1.JPG 同様に『nakedyouth』の持つ同性愛的なモチーフ(しかしストレートには語らない)も、日本アニメの得意とするところである。さらにキャラクターを2次元のなかでリアルに骨格を持たせて描く発想は、これまで日本のアニメーション以外ではあまりみられない表現である。
 それはこの作品がアニメーションのなかで文学を語っていることと無関係ではない。生身の人間を感じさせる必要があるからだ。

 欧米では子供向けのエンタテインメントアニメーション以外の多くが、アートアニメーションと分類される。『nakedyouth』も、アートアニメーションに取られそうだ。
 しかし、作品で実際に表現されているのは物語であり、情緒であり、人間の心なのである。アートでなく文学なのだ。実はこうしたアニメーションによる感情表現は、日本のアニメに際立つ特色なのである。

 この2つの作品と比べると作品賞の『49』(岩野一郎)や佳作の『空想少女』(野山映)は、グローバルにわかり易い傑作と言える。アヌシーやSIGGRAPHといった場所でも普通に受け入れられるに違いない。もし制作者の名前を隠してしまったら、多くの人は制作者の国籍を言い当てるのに難儀するだろう。
 さらにもうひとつの佳作『おはなしの花』(久保亜美香・井上精太)は、日本や世界とは全く無関係、これまでのアニメーションの文脈の外で生まれたアイディアという点が持ち味となっている。

 閉会の辞において、CGアニメコンテストを主催するDoGAのかまたゆたか代表は、今後のCGアニメコンテストの方針についても言及した。来年はCGアニメコンテストも20周年を迎えることから、20周年の記念イベントを行いたいというものである。
 既に動き出しているプランは、世界各国で増えているインディーズのクリエイターを招いた、国際的な規模のコンペティションである。しかし、これ以外にもいろいろやりたいのでアイディア募集中ですとのことであった。
 第19回の上映会はこのあと大阪のエル・おおさか(大阪府立労働センター) エル・シアターでも、5月19日に行なわれる。

CGアニメコンテスト公式サイト /http://doga.jp/contest/
DoGA  /http://doga.jp/

第19回CGアニメコンテスト入選作品一覧

グランプリ
  該当なし

作品賞
  『49』 岩野一郎

映像賞
  『nakedyouth』  宍戸幸次郎

エンターテインメント賞
  『放課後決闘クラブ』  KAN

佳作
  『空想少女』  野山映
  『おはなしの花』  久保亜美香・井上精太

入選
  『放課後、エメラルド』  七尾一哉
  『HONEY CAM』  御幡駿
  『むきだしの光子』  谷口崇
  『Full Moon Party』  椙本晃佑
  『Cherry age』  道田真司
  『RED MIRAGE』  大四喜 CGチーム
  『スペースネコシアター』  青木純
  『Re:set』  貝ナツミ
  『カナコさんの話』  ヒロモト アキノリ
  『LOST UTOPIA』  水江未来
  『ツキ姉と僕』  井端義秀
  『THE NAKED APE』  橋本大七
《animeanime》
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