2006 アニメビジネス10大ニュース 1位~5位 | アニメ!アニメ!

2006 アニメビジネス10大ニュース 1位~5位

レビュー そのほか

1位 涼宮ハルヒの憂鬱』ブーム
       U局発の人気アニメ登場 変わる地上波テレビの役割

 2006年を代表するアニメ作品に『涼宮ハルヒの憂鬱』を挙げることに異論のある人は少ないだろう。しかし、『ハルヒ』のビジネス規模がアニメ業界で1番となり、世間の人が誰でも知っている作品となったわけではない。ではなぜ『ハルヒ』のヒットがビジネスニュースなのだろうか。
 それは期待以上の大ヒットに尽きる。そして、この期待以上を生みだした構造に注目する必要がある。 

 『涼宮ハルヒの憂鬱』のビジネスの注目は2点である。1点目は作品の公開が地方局での放映という限られたものだった点である。
 アニメ作品公開の王道である地上波首都圏キー局の放送や劇場公開、さらに注目の増しているインターネットですらない。これまでの常識を考えれば、視聴者に届く可能性が極めて限定された作品である。

 『ハルヒ』がブームとなったことは、子供を対象に広く商品展開を考える作品以外では地上波キー局の放映が必ずしも重要でなくなっていることを示している。アニメ制作本数が過去最高となる一方で、インターネットによる情報網の発達が、優れた作品を確実にピックアップする機能を果たしている。
 地上波キー局の力は依然大きいが、ハルヒのヒットは今後長期的にはキー局の深夜放送やUHF局、衛星・ケーブル局、インターネット配信が、放映媒体として等価になっていく可能性を示している。

 もうひとつは今回のブームが、ファン主導で作られたムーブメントであった点である。ここ数年でも『機動戦士ガンダムSEED』や『NARUTO』、『ハウルの動く城』など『ハルヒ』以上にヒットした作品は少なくない。しかし、そうした作品の多くは、当初より大ヒットを意図して大きな予算が割かれている。
 『ハルヒ』は放映が地方局限定だったように、期待されていたのはほどほどのヒットである。現在のようなブームは、偶発感が大きい。
 これまでにも受け手主導で期待を超えるブームを生みだした作品には、『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』『新世紀エヴァンゲリオン』などがある。しかし、近年はこうした作品がなかった。
 2007年以降はこのブームが収束に向かうのか、続編制作でさらに大きなムーブメントが生まれるのか目が離せない。

2位 時をかける少女』ロングラン興行に
       大型劇場アニメより小規模公開の作品に話題が集中

 『時をかける少女』のヒットも『ハルヒ』と同じ構造を持っている。『時をかける少女』の2006年の興行収入は、2億円とされている。興収で70億円を越えた『ゲド戦記』や『ポケットモンスター』、『ブレイブ・ストーリー』など同じ年の大型映画に較べれば遥かにビジネス規模は小さい。
 『時をかける少女』の事件も、『ハルヒ』と同じ予想外といった点に尽きる。それは、アニメ作品としては異例の半年を越えるロングランを実現したことや劇場用のフィルム本数を急遽増やしたことからも判る。
 また、大手ポータルサイトの作品評価で1位を獲得したように、ここでもインターネットによる情報の広がりが大きな役割を果たしている。
 それはアニメファンという帰属性の高いコミュニティに対して、インターネットがビジネス的に大きな意味を持ち始めていることでもある。

 さらに『時をかける少女』は、アニメファンだけでなく一般の観客に対して普遍性を持った作品であった。劇場アニメの興行が、子供向けの大規模なロードショーか、マニア向けの単館(あるいは数館)ロードショーが大半とされている。
 『時をかける少女』の観客にアニメファンは少なくない。しかし、作品はアニメファンにしか判らないお約束事には無縁な世界であった。一般の大人の視聴に耐えうる作品として、アニメと無縁の観客も多かった。
 それが小さな市場であっても、アニメファン以外の大人が観られる劇場アニメがロングランとなり、その市場に可能性を見出したことは大きく評価される。

3位 躍進するウェブアニメーション
       蛙男商会の地上波進出とやわらか戦車の商品展開

 ここ数年、インターネットの世界で大きな注目を浴びていたウェブアニメーションが2006年に大きな転換期を迎えた。それはウェブアニメーションがネットから飛び出したことである。
 その代表は4月に『THE FLOGMAN SHOW』で地上波テレビに進出した蛙男商会と、大規模な商品展開で一気に知名度上げた『やわらか戦車』である。重要なのはネット(と上映会)の枠を飛び越えたことで、ウェブアニメのビジネス化が急激に進んだことである。
 この結果、あらたなコンテンツとしての可能性、アイディアの源、人の呼べる作品、低コスト様々な面から、ウェブアニメーションに対する関心が急激に高まっている。

 現在は限られた作家だけであるとしても、ウェブアニメで収入を得ることが出来る可能性が生まれたことは、クリエーターにとっても大きな意味がある。
 2006年に盛り上がった高い関心が2007年も続きさらに飛躍するかが、今後のウェブアニメーションの行方を決めることになりそうだ。
 
4位 双日 米国ADVに資本参加 
     米国1アニメ流通会社に出資で日米アニメビジネス融合に向かう

 総合商社の双日は日本政策投資銀行、クロックワークス(双日の持分会社)と共同で投資会社を設立し、北米最大のアニメ流通企業のADヴィジョンに30%の出資をした。
 これまで米国のアニメ流通企業は、100%日本企業が出資する現地子会社か100%現地資本の米国系の企業に分かれていた。米国系トップ企業に日本の資本が入り、共同でビジネスを展開することは大きな変化である。

 これには、ここ数年の北米でのアニメDVD販売の伸び悩みにより、日系、米国系双方の企業が新たな資金を必要としていた事情もある。
 実際に、2006年には電通系の米国アニメ流通企業ジェネオンエンタテインメント(USA)に、三菱商事が子会社のディーライツを通じて資本参加をしている。

 しかし、もっと大きな流れは、日本企業が単にライセンスを売り、市場開拓は現地企業にまかせる状況が大きく変わりつつあることである。日本企業自身が市場開拓に深く関わろうとし始めている。
 それはここ数年で東映アニメーション、バンダイビジュアル、マッドハウス、角川ピクチャーズUSAと現地にビジネス拠点を設立する動きが相次いでいることからもわかるだろう。

5位 インターネットでのアニメ販売元年 国内外で成長するアニメ配信
       米国で相次ぐアニメ番組のダウンロード販売

 昨年に引き続きインターネットでのアニメ配信事業が拡大を続けている。2006年の特徴は、これまでインターネットでの本格的な動きがあまり見られなかった米国市場が一気に進展をしたことである。
 米国では7月にVIZメディアとカートゥーンネットワークが共同で人気番組の無料配信を始めたのが大きなターニングポイントになった。その後、バンダイ・エンタテイメントがアマゾンで配信・ダウンロード販売の特設サイトをオープン、ADVが自社の配信・ダウンロード販売サイトを設立、中堅企業もそれに追随するなど短期間でインターネットサービスが出揃った。
 2006年は、米国のアニメのインターネット配信元年となった。一番の驚きは、日本でははまだ実現していないインターネットのダウンロード販売が始まったことである。

 国内では05年にスタートしたGyaOのインターネット完全無料配信に、Yahoo動画が追随した。さらに、新作アニメのプロモーションのために、作品の一部あるいは全部をインターネット配信することはもはや常識となっている。
 また、有料配信では国内最大のライブラリーを持つ東映アニメーションが、そのラインナップのほとんどがいつでも視聴出来る体制にむけてインターネット配信体制を大幅にリニューアルするなど拡大を見せている。
 しかし、こうしたインターネット配信も、現段階では国内では番組のダウンロード販売にまで至っていない。これもコピー防止技術が確立し、どこかがスタートを切ることで一気に普及する可能性が高い。それが2007年に開始されるかどうかが注目される。
《animeanime》
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