2006 アニメビジネス10大ニュース 6位~10位 | アニメ!アニメ!

2006 アニメビジネス10大ニュース 6位~10位

6位 国内外で拡大するアニメイベント
  東京国際アニメフェア、アニメエキスポ、ジャパンエキスポ過去最大規模に

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6位 国内外で拡大するアニメイベント
  東京国際アニメフェア、アニメエキスポ、ジャパンエキスポ過去最大規模に


 2006年は国内外で日本アニメ関連イベントが過去最大の規模となった。国内では2002年にアニメビジネス振興を目的に開始した東京国際アニメフェアが、2006年に参加企業過去最大、参加者はおよそ10万人に達した。
 また、海外では2年ぶりにフランスで開催されたヨーロッパ最大のアニメイベントのジャパンエキスポが参加者6万人を突破し過去最高となった。北米ではアニメエキスポが開催から15年で4万人を突破、こちらも参加者は過去最高である。
 さらに日本アニメの普及の遅れたドイツのコンニチでも、過去最高の1万2,000人の参加者を集めている。こうした傾向はアジアでも同様で、北米・アジア・ヨーロッパを中心に海外のアニメイベントが拡大している。

 しかし、ポップカルチャー関連のイベントの拡大は、日本アニメだけに限らない。国内では、東京ゲームショウが90年代後半の停滞をくぐり抜け、2000年代に入り再拡大に転じている。2006年の企業出展、参加者(19万2000人)とも過去最高である。
 さらに米国ではサンデイェゴ・コミコンが、過去最大規模でおよそ10万人。日本のアニメやマンガにも力を入れるニューヨークコミコンが開催第1回で予想を大幅に上回る2万人を集めた。

 こうした規模の拡大により、これまでファンイベントの色彩が濃かった各イベントは、宣伝やマーケティングの場としてビジネスでの重要性が増している。
 逆に言えば、企業や行政によるサポートが規模の拡大を支えているとも言える。

 一方で、イベントの拡大は必ずしも良いことばかりとも言えない。毎年5月にロサンゼルで開催される世界最大のゲームショウE3は、巨大になり過ぎたことを理由に今年から開催規模を大幅に縮小する。
 大規模なイベントがファンや業界、ビジネスにとってどういった利益をもたらすのかを、いま一度考える必要があるかもしれない。

7位 上場新興アニメ・マンガ関連企業に相次ぐ業績下方修正
    コンテンツ関連企業の株価は停滞

 
 2006年後半になって企業業績予想を大幅下方修正するアニメ・マンガ関連の新興上場企業が続出した。なかでも、黒字予想から一転して16億円の赤字予想に転じたGDHの決算は衝撃を与えた。このほかウィーヴやマーベラス、マッグガーデン、ウェッジHD、JDC信託など新興企業の業績下方修正が相次いでいる。
 業績修正は、DVD販売の不振を理由とするGDHやテレビアニメ番組のメディアミックス展開不調のウィーヴ、雑誌販売不振のマッグガーデンなど様々である。しかし、株式市場でこうした企業の株価は数分の一まで下落したことは共通している。拡大するコンテンツビジネスに大きな期待が寄せられた2005年と対照的な動きとなった。

 一方で、東映アニメーションは経常利益で過去最高を更新、バンダイビジュアルも6期連続最高益を更新するなど業績が好調な企業も少なくない。しかし、こうした業績好調企業でも、東映アニメーションの株価は年初のおよそ半分、バンダイビジュアルは2/3の水準である。
 株式市場でのアニメやマンガ関連業界に対する冷ややかな態度が伺える。株式市場は企業や業界の動向を先読みするとされることが多い。株式市場ではブームが去ったコンテンツ関連市場。2007年はどちらの方向に進んで行くのだろうか。

8位 日本アニメ『鉄コン筋クリート』に外国人監督登場
      鉄コン筋クリートにアリアス監督 海外で増える日本アニメスタイル

     
 劇場アニメ『鉄コン筋クリート』をアメリカ人のマイケル・アリアス氏が監督を務め話題を呼んだ。日本のアニメスタジオが、国内向けの大型アニメ作品に在外外国人を起用する初めてのケースとなっている。
 また、この秋にはフランス人トマ・ロマン氏、サヴァン・エッフェル氏の監督によるテレビアニメシリーズ『オーバンスターレーサーズ』の放映も開始されている。こちらは日本のハルフィルムメーカーとフランスのアニメプロダクションSav! The Worldの合作である。監督は日本で制作指揮を執ったほか、制作の拠点のほとんどが日本に置かれた。
 これまで日本アニメは日本人にしか作れないと主張されることが多かった。しかし、『鉄コン筋クリート』と『オーバンスターレーサーズ』は、こうした常識を打ち壊し始めている。

 さらに欧米で、日本アニメスタイルを大きく取り入れたテレビアニメーションが続出している。既に東アジアでは、日本アニメスタイルのアニメーション製作は広く見られるが、それが欧米に拡大している。
 今年2月に米国の大手ケーブルテレビ局のニコロデオンで、日本のアニメ制作を舞台にしたコメディアニメーション『カッパ・マイキー』の放映が始まった。制作は全て米国、主人公以外のキャラクターは日本アニメスタイルという変り種である。日本のアニメスタイルと欧米のアニメーションの違い自体が番組のテーマになっており、日本のアニメスタイルへの関心の高まりが表れている。

 日本アニメ制作に参加する在外外国人の登場や日本アニメスタイルの海外への広がりは、日本のアニメの将来にとって重要な意味を持つに違いない。

9位 代々木アニメーション学院民事再生法申請
    転機を迎えるアニメーションクリエーター教育 
   

 大手アニメーション専門教育機関の代々木アニメーション学院を経営する代々木ライブ・アニメイションが民事再生法を申請し経営破綻した。この経営破綻には、同社の放漫経営といった個別の理由があるもののアニメクリエーター教育の環境変化といった大きな潮流とは無関係ではない。
 この変化のひとつは、専門学校が共通して抱える少子化問題である。もうひとつはアニメーション教育業界で特に目立つ過当競争と高学歴化である。

 専門学校の多くが少子化による生徒の減少を前に、アニメやマンガ、ゲームといった若者に人気のクリエイティブ系学科・コースの新設や増設することで対応しようとしている。この結果、以前より競争の激しかったこの分野の生徒獲得競争がさらに激しくなっている。
 さらに、行政のコンテンツ産業育成政策により、大学教育でもこうした分野の学部、学科の増設が相次ぎ、2006年にはその稼動が本格し始めた。
 大学教育はこれまでの学校の場による教育が実践に役立たないという指摘に対応し、インターシップなどを取り入れるなど競争優位性が高い。このため専門学校の学生が、大学にも奪われ始めている。

 一方で、アニメーターを中心に就職後初期段階の賃金が極めて低いことなどから、アニメ制作現場での人材不足の深刻化がさらに進んでいる。
 2007年以降は、こうした教育と現場のミスマッチの解消が求められるだろう。

10位 機動戦士ガンダムDVD-BOX登場
    次世代DVD:ブルーレイ・HD-DVDも本格始動

 
 DVD化が待望されていた『機動戦士ガンダム』テレビシリーズのDVD-BOXが、12月に発売された。通常のDVDが1万枚売れればヒットとされるなか、DVD-BOXという高額商品にもかかわらず初動で12万セットを出荷する大ヒットとなった。商品単価の高さを考えれば、記録破りの売上高になるだろう。
 一方で、『機動戦士ガンダム』のDVDの発売は、DVDから次世代ディスクの切り替えが近づいているためだと解説されることが多い。旧メディアの最後の目玉商品として売るためだという。

 実際に、2006年は次世代ディスクであるブルーレイとHD-DVDの発売が本格化し始めた。しかし、技術優位の高いブルーレイ、価格と普及速度の速いHD-DVDの2種類の方式は甲乙つけ難く、どちらがディフェクトスタンダードになるのか現状では判らない。
 次世代ディスクでのアニメソフトも初めて発売された。なかでもメジャータイトルの『ブレイブ・ストーリー』が、ブルーレイ、HD-DVDの双方で発売されたのが目を惹いた。また、ブルーレイでは『イノセンス』『AIR』といった人気タイトルが既に発売されている。
 2007年は両方式のそれぞれの陣営がスタンダード化を狙い、アニメ作品も巻き込んだ展開を繰り広げそうだ。
《animeanime》
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