インディーズアニメ進化論:報告 | アニメ!アニメ!

インディーズアニメ進化論:報告

イベント・レポート

 8月31日に東京・御茶ノ水のデジタルハリウッド本校で「インディーズアニメ進化論 ネットアニメの過去・現在・未来」が開催された。セミナーはそのタイトルどおり、インディーズアニメとりわけネットアニメの現状について広く知ることの出来るものであった。

/seminar.JPG セミナーはまず進行役の服部健太郎氏がインディーズアニメの概念を解説した。そのうえで過去と現在、未来と3つのパートに分け、ゲストのルンパロ(左山誠)氏、竹熊健太郎氏、杉山知之氏がそれぞれの状況を説明、議論して行く形式をとった。

 ゲスト3人はいずれも話題が多く議論はしばしば様々な方面に広がっていった。しかし、そうした広がりは議論が散漫というよりも、むしろより深まったように感じた。
 逆にいえば、インディーズアニメに関心を持つ多くの人にとって、インディーズアニメの情報は現時点ではまだまだ少ないのである。つまり、3人のどの話もが貴重な情報となっていたわけである。

 そうしたセミナーの話題の広がりの中で、何度も繰り返されたキーワードがいくつかあった。それは「インディーズアニメは黎明期」、「アイディアとセンス」、「クリエーターの権利」のといった言葉である。
 おそらくこうした言葉が、インディーズアニメの現状を最も端的に表していると言えるだろう。

2006年 黎明期のインディーズアニメ
 インディーズアニメが黎明期であることについては、ゲストだけでなくセミナーの参加者全員の共通の感覚に違いない。それはネットでのインディーズアニメの露出度の飛躍的な増加や昨今、急激に展開し始めたインディーズの商業化の動きから感じられる。
 インディーズアニメには長い歴史を持つアート系のアニメーションが存在するものの、現在の動きのきっかけが『ほしのこえ』や『スキー・ジャンプペア』にあるとの指摘は3人のゲストに共通している。

 ルンパロ氏は、フラッシュアニメのアプリケーションが出来た10年前とネットでの動きが顕在化する1999年がその始まりとする。現在は全体が急成長している状況で、フラッシュアニメーションの需要も急激に増えており、その可能性は多方面でまだまだ広がるという。
 さらに竹熊氏はマンガの世界で手塚治虫の『新宝島』が果たした役割を『ほしのこえ』が果たすのでないかと述べた。つまり、『新宝島』の後に大量のストーリーマンガ家が生まれたように、『ほしのこえ』が大量のアニメ作家の呼び水となるという考え方である。

アイディアとセンスが勝負を決める
 また、アイディアとセンスという点で、面白い指摘があった。インディーズアニメの発展は、PCの技術とソフトの発達が促進したのは間違いない。しかし、作品の評価はむしろ物語のセンスやアイディアによっているというものである。
 例えば杉山氏は『スキー・ジャンプ』の真島氏の3Dの技術は必ずしもトップクラスでなかったという。それは、真島氏が作品の評価は映像よりもアイディアにあると考え、作品を完成させることを優先した結果だという。

 竹熊氏はそうした状況をやはり手塚治虫の例を引いて、技術の完成度より物語を重視して急激に発達した初期のストーリーマンガの世界と同じという。
 さらに日本アニメの最大の特徴であるリミテッドアニメーションが、やはり技術の一部を切り捨て、物語とアイディアに特化したことで成功したこととの類似性にも触れた。全く新しく見られがちな現在のインディーズアニメの世界にも、日本のエンターテイメントコンテンツの伝統が流れ込んでいるわけである。
 そう考えると蛙男商会やラレコのような技術的には簡単なフラッシュアニメーションがいち早く商業化されたことには、時代の必然性があるのかもしれない。

クリエーターの権利を守るには
 最後にこうしたインディーズアニメが注目を浴びると、お金目当ての人たちも増えるのではないかと杉山氏が懸念を述べた。竹熊氏はそのためにはマンガ家の世界で実現することのなかったクリエーターのためのエージェント会社が生まれる可能性を指摘した。
 ルンパロ氏はそうした会社やビジネス目的の人たちを判断するには、結局はその人たちが本当にアニメを好きなのかが基準になるのでないかとした。

「インディーズアニメ進化論 ~ネットアニメの過去・現在・未来~」
ルンパロ(アニメ作家//move on web.実行委員会代表) 
竹熊健太郎(評論家) /たけくまメモ
杉山知之(デジタルハリウッド校長) /校長日記
進行:服部健太郎(/株式会社ファンワークス) 
主催:デジタルハリウッド株式会社/株式会社ファンワークス
《animeanime》
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