アニメブーム 誰が儲っているの?その2 | アニメ!アニメ!

アニメブーム 誰が儲っているの?その2

レビュー そのほか

 まず注目したいのは、2月10日に第3四半期の決算を発表したマーベラスである。マーベラスの決算では、同社はアニメ制作事業の制作本数増によって売上高は増やしたが、営業利益を減らしている。マーベラスは、これはアニメの制作費用が増加しているためだと説明している。
 つまりアニメの制作費用、制作会社に支払われる金額は、売上高の伸びをかなり大きく上回っているわけである。アニメ制作会社に支払われているお金は増えているのである。
 
 これはマーベラスに限ったことではなく、トムス・エンタテイメント(TMS)のアニメーション事業についても同様のことが言える。同社の第3四半期でも、アニメ制作本数の増加と売上高の増加、そして営業利益の減少が並立している。これも制作費用の増大が理由だという。
 マーベラスとTMSは、アニメの企画は立てるが実際のアニメ制作は外注する企業であるから、増加した売上高の利益の多くが外注先の制作会社に流れていると考えられる。

 一方、アニメの企画も行い、制作も自ら行う東映アニメーションやGDHの決算は対照的である。売上高の伸びと営業利益の伸びが同時に実現している。中間決算では、減収減益になったプロダクションI.Gも、その要因は大型劇場映画の版権収入がなくなった反動であり、テレビアニメの制作だけを見ると増収増益である。
 ここで判るのは、これらの企業は版権収入だけでなく、アニメ制作でも利益を伸ばしていることである。

 先日、マーベラスによる老舗制作会社アートランドの買収が発表された。マーベラスによれば、外部発注していたアニメ制作を内部に取り込むことによって利益の向上を目指すという。
 これまでの大企業によるアニメ制作会社の買収は、制作会社の版権目的が多いとされてきた。しかし、マーベラスのアートランドの買収は儲かるアニメ制作を自社に取り入れるという新たな動きといえるだろう。

 ここ1、2年で多くのアニメ企業が、売上高に占める版権収入の割合を減らしている。これは、版権収入が減少しているというよりも、むしろ制作売上高が増加していることを示している。逆に言えば、アニメ制作本数の伸びほどに、版権収入は伸びていない。つまり、アニメ制作本数は増えたが、アニメの関連市場は広がっていない。
 これまでは中小アニメ制作会社が儲からないのは、版権を持てないためとされてきた。しかし、少なくとも今回のアニメ制作ブームでは広告代理店やテレビ局といったアニメ製作投資をする企業は、このブームの利益を必ずしも享受していない可能性が高い。製作出資が増えているにもかかわらず、版権収入や窓口権料が拡大していないからである。

 それでも、数多くの作品に投資していれば『ガンダム』や『ジブリ』、『プリキュア』といった大ヒット作品が、他の作品の費用をカバーする。問題は、異業種参入でアニメ製作出資に進出し、1作品から数作品に投資して出資金を回収出来ないケースである。
 アニメ制作本数が増えるなかで、こうした儲けを実現出来なかった企業は将来的には撤退に向かうだろう。その結果、今の膨張したアニメ制作の現場も再び縮小に向かう可能性もある。
 もしかしたら、現在のアニメ制作会社に訪れたのは、長い冬のあとの小さな春かもしれない。そして、熱い夏が来る可能性は必ずしも高くはない。

/アニメブーム 誰が儲っているの?その1
《animeanime》
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