コンテンツインターシップフォーラムの中で開催されたこの座談会は、インターシップを送り出す大学とそれを実際に受入れた企業の代表による座談会であった。座談会は、それぞれの企業が持つ人材育成の実際からはじまり、インターシップを受入れたなかで見えてきたことなどが討論された。 人材の育成では、音楽ビジネスではユニバーサルミュージックジャパンの平野氏が、育成システムはまだ確立していないと説明した。育成は現場のなかで行なわれているが、離職率は高く、今後の課題となると指摘している。 モバイル&ゲームスタジオの遠藤雅信氏は、ゲームの世界では制作を担当するクリエーターとディレクター・プロデューサーとの二極分化が進んでいるという。両者の育成の方法は大きく異なってきており、キャリアの積み上げ方も異なるというわけである。 また、ゲーム産業には幾つか大企業が存在し、そうした企業に数年勤めたあとに転職をするという形が一般化しているという。それによって、業界全体に技術が広がっていくという。いわば大企業が、人材育成のためのスクール化をしているという指摘である。 人材育成の二極化は、プロダクションI.Gの石川光久氏からも指摘されていた。アニメーションの現場でも、クリエーターの教育とマネジメント・プロデューサーの育成は大きく異なる。 人材育成はまとめて考えられがちだが、コンテンツ分野ではクリエーターの世界とマネジメント・プロデューサーの違いを十分認識したうえでのコンセプト作りが重要といえる。 インターシップの効果については様々な意見がでた。しかし、学生が実際の現場を知ることの効用が最大のものであるようだ。そして、少なくとも学生の側には、インターシップのメリットが大きいことは確かだ。 一方、企業側にとってのメリットは、学生を受け入れることで仕事や手間が増えることでなかなか見つけだし難い。 しかし、石川氏が述べたインターシップが会社にとってヘッドハンティングの場になっているという指摘は重要であろう。プロダクションⅠ.Gでは、インターシップで受け入れた学生が現在、社内でそのまま仕事をしているという。 つまり、人材発掘の場としてインターシップが、企業にとってのメリットになる可能性は高い。もともと海外のインターシップは、企業と学生のお見合いの場という性格も強い。 インターシップは、お互いに採用・入社の義務に縛られることなく、その会社との適正を見分けるという手段として利用出来る。こうしたWin=Winの関係の中に、コンテンツ分野のインターシップの未来があるのでないかと感じた座談会であった。コンテンツインターシップフォーラム2006座談会「コンテンツ産学連携人材育成システムの構築に向けて」石川光久 /プロダクションI.G代表取締役社長 遠藤雅信 /モバイル&ゲームスタジオ 代表取締役会長平野澄人/ユニバーサルミュージック ユニバーサルJ A&R/コンテンツインターシップフォーラム2006
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