アメリカのサブカルチャー分野のコンンベン・ニューヨークコミコン(NYコン)に行って来た。NYコミコンのアニメ・マンガが他のサブカルチャーと同等の存在として取り上げるこれまでにないコンセプトに興味を惹かれたからである。 これまで、マンガ・アニメという限られた世界でなく、アメコミや特撮、映画など他のアメリカカルチャーと並べた時に、日本のコンテンツがどう映るのかアメリカ人がどう受け取っているか知りたいと考えていた。 結論から言ってしまえば、今回のNYコミコンのアニメ・マンガとアメコミの並列にはかなり違和感があった。それはどちらがより人気があったかという話でなく、明らかに異質なものが並列されているからだ。 絵のついた物語という体裁は非常によく似ているが、両者は根本的に違うものだということがかえって明らかになった。 違和感の一番は、両者のファン層の違いである。コンベンションで明らかなのは、アメコミを目的に来ているファンはマンガ・アニメにほとんど興味がない。逆に、マンガ・アニメのファンは、アメコミにはほとんど関心を示しているように見えない。両者はほとんど交わることがないのだ。 だから、今回のニューヨークコミコンが成功したかと言うには躊躇する。参加者の数だけを考えればかなり多いが、イベントの統一感を作り出せなかったからだ。 アメリカ文化を代表するように言われるアメコミもまた一般的な文化でない。実際は、そのファンの中心は、ハイティーンよりうえのヨーロッパ系のおたくな男性が多いというかなり限定された集団である。 一方、ニッチ市場(隙間市場)といわれるアニメ・マンガのファンは、子供から30歳ぐらいまでの男女と年齢、性別とも意外に幅が広い。また、これまでアジア系のファンが多いとされてきたが、近年、ヨーロッパ系、ヒスパニック系にも確実に広がりをみせている。 市場の大きさを考えなければ、実はアニメ・マンガのほうが、アメリカンコミックより広い層に到達しているといえる。そして、その多くはこれまでアメコミが市場として考えてこなかった人達である。 実際に、マンガ・アニメがアメコミより大衆的な層に到達しているのは、マンガの販売がコミック専門店でなく、一般人がアクセスしやすい一般書店で売上げを伸ばしていることからも判るだろう。 アニメ・マンガはアメリカの中ではマイナーな文化と言われている。事実そうであろう。また、アメリカ市場でのアニメの成長は止まった、マンガにもその傾向が既に見えているとも言われる。 しかし、この文化を支える層の広さを考えた時に、この先10年、20年、アニメ・マンガ文化はまだまだ可能性がありそうだ。 ただし、10年、20年後にアニメ・マンガがよりメジャーになった時に、それが日本人の手によるものかどうかは判らない。昨今注目されている日本人以外によるアニメ・マンガ制作は大きな鍵である。 実際に、現在、アニメ・マンガを観ている子供達が大人になった時には、彼らはアニメ・マンガスタイルで今の日本と同じように優れた作品を作ることが出来るだろう。 将来、マンガ・アニメが世界的な文化として認知された時が来ても、そこには日本人のクリエーターも日本のビジネスも存在しない可能性もある。/ニューヨークコミコン
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