アニメーション学入門 スタンダードになるべき本 | アニメ!アニメ!

アニメーション学入門 スタンダードになるべき本

レビュー 書評

 どんな分野にも、その分野の基礎が学べるスタンダードな教科書、あるいは古典と言われる本が存在する。しかし、これまで日本のアニメーションに関してはそうした本は存在しなかった。
 アニメーションの本というと、評論家による宮崎駿論やエヴァンゲリオン論、社会批評や文明論、あるいは、デッサンの描き方や資金調達といったいきなり細部の話になってしまうことが多かった。アニメ全般、そもそもアニメって何といった基本的なことを述べた本は存在しなかった。

 そう思っていた矢先に手にした津堅信之氏の『アニメーション学入門』は、そうしたスタンダードになりえる本である。元々の津堅氏の専門は、日本のアニメーション史である。
 しかし、本はいきなりそこに入るのでなく、アニメーションを取り巻く現状から始まり、アニメーションとは何か、アニメーションの種類、歴史を要領よく解説している。
 こうした網羅的で概観的な本は、一歩間違うと資料としては役に立つが、読み物として全く面白くなくなってしまう。しかし、ここでは平易な文章で語られ、取り上げられる作品も、『ガンダム』や『ヤマト』など馴染みの作品が多い。
 その一方で、芸術アニメーションやCMアニメーション、海外のアニメーションと広い意味でのアニメーションも並列的に扱われている。こうしたバランスの良さもこの本の魅力である。

 おそらくアニメーション分野に詳しい多くの人にとっては、この本に書かれたことの多くは既知のことかもしれない。また、内容が広くなり過ぎたことでひとつひとつの項目の掘り下げがなく、著者の本来の豊か知識が十分に生かされていないと感じるかもしれない。
 しかし、逆に言えばこうした基本的な事実さえ、これまできちんと体系的にまとめられていなかったというべきであろう。

 この本は、これから深くアニメーションを学ぶ人が、一度は通過するべきそんな本になって行くのでないだろうか。そして、著者が提唱するアニメーション学を志す人だけでなく、アニメーションを作る人、アニメーションで仕事をする人、アニメーションの一般的なファンにさえ、是非、一度読むこと薦めたい本である。

《animeanime》
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