ヨーロッパのアニメーション会社の躍進と憂鬱(11/1) | アニメ!アニメ!

ヨーロッパのアニメーション会社の躍進と憂鬱(11/1)

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 日本アニメが国際的な輸出商品となると言われて久しい。このため輸出市場として巨大なアメリカ市場と潜在的な大市場である中国市場への関心は高まる一方である。その一方で、GNPで中国を遥かに上回り、消費人口でアメリカを上回るヨーロッパ市場は意外に見落とされている。
 これはアニメーションの消費市場だけでなく生産国としても同様のことが言える。EUが今や、日本、米国に次ぐ商業アニメーションの生産大国であり、数多くのヒット作品を生み出していることはあまり知られていない。

 10月31日のアニメワールドネッワーク(AWN)の「Ship My Units: いかにヨーロッパアニメーションをアメリカで放映するのか」は、そうしたヨーロッパ各国のアニメーション制作会社のアメリカ市場における活躍とその裏に隠れている事情と問題点を特集している。
 特集の論旨は明確である。近年、ヨーロッパのアニメーション制作会社の制作した『トタリー・スパイズ』や『ザ・ウィニクスクラブ』に代表される作品がアメリカの大手放送局で放映されるケースが急増している。しかし、AWNによればその理由は主に制作コストにある。
 つまり、アメリカの制作会社のアニメーションが30分番組1本35万ドルから50万ドルの費用がかかるのに対して、ヨーロッパのアニメーションは18万ドルから30万ドルで制作することが出来るため、アメリカの作品の買い手にとって有利な状況が築かれているというのだ。
 また、資金調達力が弱く、作品販売のための充分な流通網を持たないヨーロッパ企業は、アメリカ企業と不利な契約を結びがちだと記事は紹介している。

 このAWNの指摘するヨーロッパ企業の問題点は、振り返ってみれば日本アニメ関連企業が海外で抱える悩みと共通するものが多い。しかし、日本企業はアニメやマンガという他国を寄せつけないジャンルを持っていること、日本アニメの制作費用がアメリカやヨーロッパの作品に較べて格安で、かつ国内市場でそのコストの大半が回収されているという強みがある。
 そうした意味でヨーロッパ企業の抱える悩みは、日本以上に深刻だとも言えるだろう。ヨーロッパの制作会社の問題点は、彼らの強みがどこにあるのかが明確でなく、どういった基盤で競争力を発揮するかが明確でない点である。

 アメリカのアニメーション関連企業の強さは、制作会社が自国の市場をよく理解して作品を制作しているのに加えて、日本や中国といったごく一部の国を除いたほとんどの国の劇場公開やテレビ放送、ビデオグラムの流通網で大きな力を持っていることにある。一方、日本アニメの強さは作品の安価大量生産と作品に関連した商品展開である。

 ヨーロッパのアニメーションは市場において、アメリカのカートゥーンと競合するのか日本アニメと競合するのかが曖昧である。本来ならアメリカのカートゥーンと競争すべきだが、実際にヒットしている作品にアニメスタイルのアニメーションが多いのが現状である。
 しかし、もしアニメスタイルで勝負するなら日本アニメと競合し、日本アニメと競争した場合は番組制作の価格競争で後塵を拝することになる。

 それでも、『トタリー・スパイズ』が世界百ヶ国を超える大ヒットになり、『ザ・ウィニクスクラブ』の人形が爆発的に売れるのはアメリカ企業の流通網のおかげだけでないはずだ。そこには、アメリカのカートゥーンとも日本アニメとも違う別の魅力が存在するに違いない。
 そうしたヨーロッパアニメーションの魅力が何なのかを知ることこそが、ヨーロッパのアニメ制作会社の抱える問題を解決する方法であるに違いない。

/AWN 
AWNの記事 /Ship My Units: How European Animated Series Get on U.S. Channels
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