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アニメクラブ 日米の昨今

イベント・レポート

 17日のSF大会のパネル企画『コミックマーケットと日本マニア文化』が面白かった。内容は、コミケの歴史と伴に日本のアニメ、マンガを中心としたファン活動の流れを辿るものである。その中で80年代におけるファン活動が、その後のアニメやマンガビジネスに大きな影響を与えたことがあらためて確認出来たからだ。
 
 実はこの関心は、先日のカリフォルニア州アナハイムで開催されたアニメエキスポのパネルのひとつ「アニメクラブサミット」を聞いていた時に始まった。現在の米国のアニメファンの活動の様子が80年代の日本のアニメファンのそれと非常によく似ているのではないかと思ったためである。
 その類似点は産業に対するファン活動の強い影響力、その影響力の源になる大学や作品ごとに組織化されたファンクラブの存在、プロとアマの領域の曖昧さとファン活動からプロに移行するルートの存在である。これらは、今の日本の若いアニメファンの世界では失われてしまったものでもある。

 今、アメリカの主な大学でアニメクラブを持たない場所はほとんどない。さらに驚くべきはその規模で、UCLAやテキサス大学、MITといった大規模な大学のアニメクラブの会員数は数百名から1000名近くにまで達している。各アニメクラブはこうした組織力を背景に、コンベンションを行ったり、アニメクラブのための上映作品のDVDや権利を企業から引きだしている。 そして、このような活動を通じてファンの要望を企業に伝え、そうして生まれたた人脈からプロになって行くことも多い。

 翻って日本では学生数が万単位の大学でも、少人数のアニメ部しか存在しない。アニメ部、アニメ同好会といった組織すら存在しない大学も少なくない。また、かつて存在したような作品ごとの巨大ファンクラブも今では見られなくなっている。
 おたくの集まるクラブ活動を題材にした作品『げんしけん』が受けているが、実際には日本国内では『げんしけん』のような世界は急速に減っており、フィクションになりつつある。
 『げんしけん』は実は米国でも人気であるが、米国の学生達は日本の学生達よりも、作品をリアルな物語として自分達と重ね合わせて楽しんでいるのかもしれない。

 勿論、日本ではアニメやマンガといった業界が20年前とは異なり、ある意味では権威化してしまいファンとプロの境界も明確になっているという事情もある。また、情報の入手手段が多く、ファンが組織を必要としていないことも変化の理由であろう。
 それでも、コミケ、ワンフェスといった今ではファン活動になくてはならない組織や会社の多くが、80年代の若いアニメファンやマンガファンの活動から生まれて来たこと、新たにそうした画期的なものがファンの側から生み出されなくなっているのは事実である。

 米国の大きなアニメクラブが持つ圧倒的な数のコアなアニメファンは、アニメの将来を支える予備軍となっている。そして、その中から企業人だけでなく、数多くの新興企業やクリエーターも生まれて来る。そうしたことを考えると、近い将来に日本はアニメビジネスおいてもクリエーションにおいても米国に抜かれるかもしれないと感じるのだ。

/日本SF大会 
/アニメエキスポ2005 
《animeanime》
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