日本アニメが米国で失速? | アニメ!アニメ!

日本アニメが米国で失速?

レビュー そのほか

 6月18日の日本経済新聞の夕刊が『日本アニメ、米で人気減速』と題した特集記事を組んでいる。記事の論調はかつて米国を席巻した日本アニメは既に人気がなくなってきており、日米合作に活路を見いだしつつあるというものだ。
 日本アニメがより広いマーケットを目指し、日米合作を展開する流れという結論には同意出来る。しかし、記事の全体を流れる米国で日本アニメはもう駄目だというトーンには違和感を持った。個別の事例を無理に日本アニメの人気減退に結びつけようとする意図が感じられるためだ。 

 とりわけ『ハウルの動く城』を取り上げて米国の劇場用アニメーションの市場で日本アニメが凋落しているとしている展開に無理がある。記事によれば、『ハウル』は米国でヒットしていない、マイナー扱い、その理由は日本アニメの人気がなくなっているからだという。
記事からの幾つか内容を引用してみたい。
先週、封切られた映画『ハウルの動く城』はほとんど話題にならず、日本での人気がうそのよう。」
「公開2日目にハリウッド市内の映画館をのぞくと、土曜日にもかかわらず館内は空席が目立った。」

 記者が現地で体験した感覚は嘘ではないと思うが、こうした感覚は実際に数字として上がって来ているデータとはかなり異なる。例えば、米国版グーグルニュースで“howl”で検索してみれば、いかに多くのメディアが『ハウル』を取り上げているか判るだろう。勿論、こうした扱いは今週公開された新作『バットマン』のような大衆作品とは較べようもないが、限定公開の作品にここまで多くのメディアが批評するのはかなり注目度が高いと言っていいだろう。
 後半部の引用からは『ハウルの動く城』に全く観客が入っていないような印象を受けるが、先週末の1館あたりの売上高11,888は興行収入として決して低い数字でなく、むしろ一般的には好調とされる数字である。この数字は先週末の主要な公開映画で2位であったし、その後も同じ程度のランクを維持している。
また、ハウルが限定公開であることを
「こんな扱いを受けるのは、日本製アニメも集客力が落ちているからだ」
と評してしている。
 これは明らかな間違いである。これまでに較べて日本アニメの集客力が落ちることありえないからだ。なぜなら、過去においても米国で日本アニメの集客力が強かったことはないからである。劇場アニメは今も昔も日本アニメが弱い分野である。日本の劇場アニメの唯一の成功例である『ポケットモンスター』の成功を引き合いに出し、いかに観客が減ったかを説明しているが、もともと集客力がない中で『ポケットモンスター』のみが例外的に大ヒット作品なのである。過去の特異なケースを一般化して、それに較べて全体が変わってきているという論旨には問題があるだろう。

 また、キャラクター商品などについても、米国の4キッズ・エンターテイメントの売上高の落込みなどをあげて日本キャラクターの力の落込みとしている。しかし、『遊戯王』といった個別の作品の人気の落込みを日本アニメ全体の人気の離散としている面が強い。
 勿論、『ポケットモンスター』や『遊戯王』といった大ヒット作品に続くキャラクターが育っていないという問題はある。しかし、それはまたマーケティグなどの問題もあり、日本のキャラクターの訴求力が落ちているという結論には直ちには結びつかない。
 少なくともカートゥーンネットワークやアダルトスイムの高い視聴率やマンガ出版の好調ぶりなどからみれば、マーケットが頭打ちということはあっても日本のキャラクターやコンテンツ受けなくなっていると単純な結論には無理があるといえる。
 それでも、これまで多くの日本のメディアが日本アニメは凄いという幻想を振りまいて来た中で、日本アニメビジネスの海外における負の部分に光を当てるといった点では評価の出来るレポートである。

/日本経済新聞 
《animeanime》
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