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アニメと日本映画産業

 日本貿易振興機構の発行するJapan Economic Monthly第14号の中で『日本の映画産業動向』と題したレポートをまとめており、アニメ映画についても多くを言及している。
 レポートによれば、2004年の国内映画市場は引き続き着実な回復局面にあったとしている。また、昨

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 日本貿易振興機構の発行するJapan Economic Monthly第14号の中で『日本の映画産業動向』と題したレポートをまとめており、アニメ映画についても多くを言及している。
 レポートによれば、2004年の国内映画市場は引き続き着実な回復局面にあったとしている。また、昨年は『ハウルの動く城』、『世界の中心で愛を叫ぶ』などの邦画が健闘したという。邦画作品のトレンドはアニメ映画、純愛映画、漫画・アニメ作品の実写化の3つだとしているが、純愛映画とアニメは好調であったが実写化作品は『NIN×NIN 忍者ハットリくん』、『CASSHARN』以外は興収10億円を超えた作品はなく、公開本数に較べて不調だったとしている。

 さらに映画産業を取り巻く状態として、シネマコンプレックスの増加により映画のスクリーン数が増えていることを指摘している。シネマコンプレックスは、大手配給会社を通さずに全国公開出来ることから邦画の公開本数の増加に貢献しているとまとめている。
 日本は他国に較べて人口当たりのスクリーン数がかなり少ないため、今後も、シネマコンプレックスの数の増加が見込まれる。そうであれば、これまで上映の機会に望まれなかったアニメ映画作品の公開の機会が増える可能性が高くなる。また、大手配給会社を使った興行でも、これまでより多くの劇場数を押さえることで、作品のヒット時に機動的に劇場数を増やすことが可能になる。観客動員数のアップにも貢献するに違いない。

 邦画の海外輸出については、アニメ主導の輸出、ホラー映画のリメイク化権の輸出がトピックとして取りあげられた。2004~5年の代表的な輸出アニメ作品として『ハウルの動く城』、『スチームボーイ』、『アップルシード』、『イノセンス』、『遊戯王ディエルモンスターズ』がレポートの中では挙げられている。しかし、比較的アニメの海外輸出は多いが、ヒット作品となると数は限られている現状についてはあまり触れられていなかった。

 また、2003年に海外で上映された主な日本映画が集計されていた。特徴的なのは、ジブリ作品が健闘していることと、観客数が少ないながらも『Cowboy Bebop天国の扉』が各国で上映されていたことである。ドイツでの時期遅れの『ドラゴンボール』の映画公開が、それなりの観客を集めているのが面白い。また、ヨーロッパ諸国で広く公開された『インターステラ5555』は松本零士氏とフランスのハウス系ミュージシャン・ダフトパンクのコラボレーション作品である。

2003年に海外で上映された主なアニメ作品
米国: 『千年女優』、『Cowboy Bebop天国の扉』、『東京ゴッドファザー』、『ポケットモ
     ンスター水の都の護神』
英国: 『千と千尋の神隠し』
ドイツ: 『ドラゴンボールZ龍拳爆発!』、『ヴァンパイヤハンターD』、『千と千尋の神隠
     し』、『インターステラ5555』
イタリア: 『千と千尋の神隠し』、『Cowboy Bebop天国の扉』、『インターステラ5555』
フランス: 『猫の恩返し』、『インターステラ5555』、『Cowboy Bebop天国の扉』
韓国: 『メトロポリス』、『もののけ姫』、『猫の恩返し』、『Cowboy Bebop天国の扉』
     『紅の豚』
上記一覧は 日本貿易振興機構 日本経済情報課『日本の映画産業動向』図表12『海外で上映された主な日本映画一覧』より抜粋

/日本貿易振興機構 
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