2004年アニメトレンドの回顧 (1)

レビュー そのほか

アニメーション制作技術の転換点

 2004年はアニメ制作技術の大きな節目の年であった。90年代初めから静かに始まったアニメ制作におけるデジタル化の流れの中で幾つかの象徴的な出来事により時代の区切りとなった。ひとつは、『鉄腕アトム Astro Boy』を最後に、長年、日本の商業アニメを支えてきたセルアニメーションの歴史が事実上幕を閉じたことである。
 それまでにアニメ制作現場でのセル画の使用はほとんどなくなっていたとはいえ、CGアニメ時代の到来をあらためて確認させる象徴的な出来事であった。セル画を使用した日本初のテレビシリーズアニメ初作品は約40年前の虫プロ版『鉄腕アトム』あったが、偶然ではあるが最後のセル画アニメも同じタイトルの『鉄腕アトム』であった。

 また、海の向こうではアニメーション映画の雄というべきウォルトディズニー社が2Dアニメーションによる制作を打ち切った。これに伴い、日本の杉並にあったディズニースタジオも閉鎖された。
 日本では、セルアニメ製作手法を受け継ぐ2Dアニメーションは、様々なスタジオによって受け継がれている。しかし、海の向こうではセルアニメーション時代の終焉と伴に、アニメーション制作の主流は、3Dアニメーションに変わりつつある。
 2004年にアメリカで大ヒットしたアニメーション映画『シュレック2』、『Mr.インクレディブル』、『シャークテイル』、『ポーラエクスプレス』はいずれも巨額の資金を投入し、技術力を結集した3Dアニメーションであったことがこれを裏付ける。
 特に、『ポーラエクスプレス』は実在俳優の表情の動きまで再現をさせる技術で注目を集めた。

 今や、2Dアニメーションの伝統は日本アニメの中に生きる場を求めているようだ。こうした意味では、2Dアニメで制作された宮崎駿監督の『ハウルの動く城』が2004年ヴェネチア映画祭で技術貢献賞を受賞したのは象徴的である。
 3Dアニメーションの米国と2Dアニメーションの日本といった世界のアニメ市場での住み分けが今後進む可能性が高い。

 一方、日本でも3Dアニメーションの可能性を模索する動きも確実に進んでいる。『アップルシード』はモーションキャプチャーを効果的に利用した映像を実現して注目を浴びた。また、押井守監督の『イノセンス』は2Dと3Dの見事な融合によって今後の2Dアニメーションの可能性と方向性を示した。
 2005年以降も、原画作業や背景作業などを中心に制作における一層のデジタル化進むと考えられる。そうした状況の中で、そう遠くない将来にきっと現在では想像も出来ないような技術がまた現れ視聴者を驚かせるのだろう。
《animeanime》

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