『コンテンツ消滅』:書評

レビュー 書評

 正直、新聞でタイトルを見ただけで興味を持って中身も見ずに購入した。なにしろ、正式なタイトルは『音楽・ゲーム・アニメ コンテンツ消滅』と来ているからただごとではない。当然、国やメディアによるコンテンツが日本の未来の産業といった流れに対して疑問を投げかけていると想像した。しかし、内容を読んでみると単純な社会の風潮に対する批判本というより、もっとこの関連産業の根本的な部分に問いかける本であった。
 例えば、音楽ではファイル交換ソフトが音楽・CDの売上げを減少させていること、しかし、それはこれまでの海賊版対策ではどうにもならない水準にまで来ていることを指摘している。また、ゲームについてはかつて大ヒット作品を作り出した知識共有型のゲーム開発の環境がなくなりつつあることに触れている。アニメではアニメ制作現場の空洞化についての調査報告となっており、作品の権利を持つことが難しいことから制作の現場に収益が還元されない、それが、コスト的に苦しいアニメ制作の現場を作り出し、さらに制作現場の国内空洞化を生み出しているとする。
 一見、つながりのない内容に思えるが、全体を通して流れているのはインターネットを中心とした時代の変化に既存のシステムが対応出来なくなっているという主張だ。そして、その問題の中心は知的財産の共有の仕方に行き着くと筆者は考えている。音楽、ゲーム、アニメのいずれの分野でも作り手(クリエーター)に収益が還元されなければコンテンツが崩壊してしまう、そのためには新たな知的財産の共有のシステムが必要だというのがこの本の主張である。

 これらの3分野で既存のシステムが時代の流れに挑戦を受けていることは間違いない。では、何が出来るかというとコンテンツの著作権に対する新しい形態である。つまり、特定の会社なりが独占的に著作権を利用することでなく、制限を設けながら自由にコンテンツを利用するとの考え方だ。この本の中では、クリエイティブ・コモンズという現在行われている新しい試みを紹介している。
 確かに、この考え方は魅力的であるし、おそらく筆者の主張どおりクリエーターの著作権を利用した創作意欲を刺激するに違いない。しかし、もう一方の収益の還元の部分で効果を上げるかは疑問も残る。クリエイティブ・コモンズを推し進めることは一歩前進だろう。収益還元については、これからさらなる模索が必要とされているに違いない。

/クリエイティブ・コモンズ・ジャパン 
《animeanime》

特集