第27回 AMV(アニメミュージックビデオ)のビミョーな立ち位置
その2 アメリカのパロディ文化 |
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| ■ アメリカのパロディ文化 |
それにしてもここまでAMVが広まった背景には、フェアユースかどうかという曖昧さだけでなく、アメリカに根付いたパロディ文化が働いている、と私は見ています。
アニメファン文化の両翼のひとつであるコスプレがアメリカで受け入れられてここまで大きくなったのには、もともとアメリカにはハロウィンという仮装行事があるため、入りやすかったという背景があります。同じようにもう一翼であるAMVも、アメリカ既存の風刺の精神にマッチするものだったと言えるでしょう。
先に編集技術を駆使してストーリー性を持たせたAMV(ドーナッツとレースを題材にしたもの)について触れましたが、これらはMAD動画に近いパロディAMVに分類されます。
また、ネットに溢れるパロディ的なものは今や表現方法の一種であり、時代の最先端を行く若者文化である、という捉え方を提唱している著名人もいます。
知的財産やクリエイティブのカリスマ法学者、スタンフォード大学教授のローレンス・レッシグ(Lawrence Lessig)氏です。氏は、毎年行われるTEDというイベントでデジタルエイジにおける著作権とパロディ文化の軋轢についてプレゼンテーションを行いました。その様子は、TEDのウェブサイトでストリーミングビデオとして見ることができます。
TED(Technology, Entertainment and Design)
http://www.ted.com/index.php/speakers/view/id/167
ページの下方のスクリーンをクリックすると約18分のビデオが流れます。すべて英語ですが、パワーポイントを使った「見せる」プレゼンです。
AMVが登場するのはちょうど中程です。(ちなみに、レッシグ氏はパロディ作品とは不法に販売して利益をあげる海賊版のことではない。ふたつはまったく別物である、と定義した上で語っています。)
このプレゼンテーションの中で、レッシグ氏はAMVを他の、キリストや米英首脳を茶化したパロディ動画と同じ位置付けで語っています。
つまり、AMVはUGC、ユーザー発コンテンツ(User-generated contentの略)の一種であるとしているのです。そして時代がRead-Only(読取りのみ)からRead-Write(読書き可)に移行している以上、それを逆行するのは不可能であり、新しい文化を育む若い世代を“泥棒”などと犯罪者扱いすべきではない、としています。
むしろ創造性の現れと見て寛容に受け入れるべきであり、権利保持者もある一定範囲内のものをフリー素材として提供し、AMVを含むパロディ動画などのユーザー発コンテンツを作ることを認めるべき、としています。要するに、我々の今の著作権についての概念や法律は古いものになりつつある、と指摘しているのです。
TEDのような公の一般イベントでAMVが取り上げられたことは、大手アニメニュースサイトAnime News Networkでも報じられています。
Legal Scholar Praises Anime Music Videos at Conference
レッシグ氏の提唱するビジョンは当然のことながら、AMV編集者やファンには好意的に受け止められています。
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| ■ まとめ |
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今回はAMVを取り上げてその背景や立ち位置などを検証してみました。後半はカタい内容になってしまいましたが、近年こちらの市場や現状を語る上で避けては通れない著作権やインターネットの問題にどうしても触れなければなりませんでした。
グローバル化、ボーダーレス化と言われはじめたとき、誰が今日のような状況を想像できたでしょうか?調べているうちに強く感じたことは、パロディを含むフェアユースの概念やレッシグ氏のような新しいビジョンの提案者など、アメリカでは常に進歩的な考え方、新しいテクノロジーと文化に対して社会はどう対応すべきか活発に議論されている、ということ。
こうしたアメリカ特有のダイナミズムが新しい潮流を生み出し、やがては日本を含む全世界に波及していくのですが、その波間に揺られているのが今のアニメ業界の現状です。
最後に、ファンサブ/AMV対応策として有効になり得る新技術をご紹介しましょう。
(ここではAMVがパロディやフェアユースに該当するか否かの問題とは区切って考えます。)
KDDI研究所開発による、圧縮しても消えない動画向け電子透かし技術です:
http://mmm.kddilabs.jp/ja/MPmark/index.html
アニメ!アニメ!さんでも記事になっています:
http://animeanime.jp/biz/archives/2007/11/_kddi.html
記事からの引用:
こうした技術は現在問題になっている、動画投稿サイトヘの違法動画選別技術にも、今後応用出来る可能性が強い。現在、多くの動画投稿サイトでは違法動画を手動で選別しており、その作業を行う権利保有者に大きな負担を強いている。
放映番組や市販のDVDに電子透かしを埋め込み、動画投稿の際にそれを読み取ることが可能になれば、違法動画の選別は一気に省力化することが出来るだろう。
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例えばですが、この透かし技術を映像製作メーカーやテレビ局が取り入れて、今後製作/放映するアニメなどの動画に組み込むとします。
そして動画投稿サイトにも働きかけて、動画がアップロードされる際にこの電子透かしを読み取るようにすれば、違法なものは自動的に弾くことができないでしょうか?今はアップロードされたものが違法な場合に申請して削除されても、また新たにアップされるという、まさにイタチごっこです。
新技術の導入と実施はメーカー/テレビ局側と動画投稿サイト、両者の理解と協力、設備投資が必要となりますが、これしかもう蔓延している違法動画に対処する方法はないのではないでしょうか。
アメリカのアニメ市場では今、ファンサブ問題がファンと企業の間に摩擦を起し、それが表面化してきています。
日本側から訴えても、なかなか理解してもらうことは難しいのが現状です。もちろんYouTubeなどの動画投稿サイトからファンサブやAMVを追放したところで、完全になくなるわけではありません。
アンダーグラウンドに潜る可能性の方が高いのです。ですが少なくとも「今アニメの価値はゼロである。(*)」と言われてしまっている現状からは抜け出せるのではないでしょうか?
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さて、皆さんはどう思われますか?
ではまた次回。
では、その1はこちら AMV(アニメミュージックビデオ)とは
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| Romy |
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