ども、@シアトル先生の「ファンサブに対するマジメな考察」を読んで、目からウロコのロミです。
さて今回は、ファンサブと一緒に語られることの多いアニメミュージックビデオ、略してAMVについてのご質問に答えてみたいと思います。
さなぎいぬさんからのご質問:
ファンサブに関する記事の中で、「アニメミュージックビデオ(AMV)」について触れられているのを読みました。
私自身も、YouTubeなどで編集したアニメの動画に知らない曲(多分、海外では有名なのでしょう)をかぶせたMTV風の映像をよく見かけます。YouTubeでのヒット数も結構高いようです。
こうしたAMVというのは、海外では人気が高いのでしょうか?その歴史や背景、よく引用されるミュージシャンなどについてもご存知でしたら回答をお願いします。
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| ■ AMV(アニメミュージックビデオ)とは? |
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まず詳しく見ていく前に、「AMVとは何ぞや?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
さなぎいぬさんがすでに質問の中で説明されていますが、 AMV(アニメミュージックビデオ)とはアニメ動画を音楽に合わせて継ぎ接ぎ編集したビデオクリップのことです。
ある一作品から画像や動画を取ってくることもあれば、いろいろな作品から取ってくる場合もあります。使われる楽曲にしても、その作品のオリジナルサントラの場合もあれば、自分の好きな音楽をあてる場合もあります。
これは後で触れますが、大抵の場合に権利保持者の許可無く行っています。また、完成したビデオクリップをYouTubeなどにアップロードして多くの人の目に触れることを目的としていることもあります。
最近は家庭でもできるビデオ編集やアップロードサイトの手軽さから、素人でもAMVをつくる人が増えています。日本では面白可笑しく編集したMAD動画(パロディー動画)が多いようですが、海外では圧倒的にAMVが主流です。
こころのつぶやき:
中には編集的にすごいものもあったりします。単に好きなシーンをつなげるだけでなく、ストーリー性を持たせたり、2つ以上の作品をクロスオーバーさせたり。
筆者が「このAMV、スゴイよ!」と教えられたものには、ドーナッツをテーマに「カウボーイビバップ」のスパイクと「トライガン」のヴァッシュが対決したものや、ありとあらゆるキャラの走るシーンを集めて、あたかも皆でレースをしているようなものがありました。
つくるには、かなりの時間と労力を必要としたはずです。その熱意と根気と執念には呆れるというか…脱帽です。これもあとで触れますが、アメリカはやはりパロディ精神が旺盛な国なのだな、と思います。
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よく引用されるミュージシャンについては、筆者は特にこの人と名前を挙げることはできませんが、ジャンルでいうとやはりこちらでも人気のあるアメリカンロックやメタル、ポップが多いように思います。
自分の持つ音楽観と重ねたいから、というのもあるのかもしれません。
以前聞いた話だと、アメリカ人からすると日本の楽曲はあまり尖っていないというか、野暮ったく聞こえるそうなのです。時折聞こえるジャパングリッシュなフレーズやサビ(英語文法的にはかなりアヤシイ)も「せっかくアニメーションはかっこいいのにもったいない!」と思う原因なのかもしれませんが…それでも最近ではJ-popを好んで使う人もいるようです。
これはAdult Swimの放送でもラルクやGacktなどの日本語の曲をそのまま流すようになったことも影響していると思います。日本名や日本語が新鮮かつカッコイイ!という新しい風潮を反映しているのでしょう。
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| ■ AMVの歴史 |
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AMVの歴史は古く、ファンサブとほぼ同時期に出回っていました。
私がはじめて見たAMVは劇場版マクロスを編集したもので、J-popの歌を充てたものでした。他にもAKIRAやサイレントメビウスなど、その頃話題になっていたアニメ作品の派手なアクションシーンや爆発・崩壊シーン(特殊効果)を集めただけのものに、”It’s the end of the world…”とこちらの歌詞であったものをかぶせたものがありました。
当時はファンタジーアニメの「ロードス島戦記」も人気がありましたから、エルフキャラのディードリッドの登場シーンのみを集めた一種のファンサービス的なものもありました。(つくった人はよほど彼女のファンだったのでしょう。)
「なんでわざわざこんなことするの?」と聞いたのですが、答えとしては「だってかっこいいじゃない!」というもの。
当時DAICON FILM作品や「おたくのビデオ」などを見て触発されたアニメファンがいたのだと思います(*1)。
自分たちは日本のファンのように絵(漫画)を描いて同人誌をつくることはできない。でもお気に入りの部分をコラージュしてファンダムに何かしらのトリビュート(貢献と賛辞)をしたい、という純粋な気持ちからはじまったことは確かです。
当初は日本アニメの神髄である「手描きの職人技」に対しての並々ならぬリスペクトの現れだったのです。
こころのつぶやき:
ファンダムの台頭してきた90年代には、ミュージックビデオがMTVの登場で一気に巷に溢れるようになったので、その影響もあると思います。
中には映画とタイアップして映画のシーンをコラージュしたものもありましたから、AMVもそれと同じようなノリがありました。要は、その作品の見所を5分くらいに圧縮したプロモーション映像として、まだアニメに触れたことのない人たちにも馴染んでもらうための宣伝ツールという側面もあったかもしれません。
アニメ1本30分(映画の場合は1時間半〜2時間)、見たこともなく話にも馴染みのないanimeというものに付き合わされるよりも、5分程度の音楽にあわせたオイシイシーンのオンパレードをかいつまんで見た方が、初めての人でも入りやすいだろうという…まあでもこれはあくまで2次的な後付けの理由であって、本質的にAMVは好きなアニメ作品に対するファンの愛情とオマージュの現れなのですけども。
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ところが現在ではだいぶAMVの目的も変わってきてしまっています。YouTubeなどの動画投稿サイトの登場により、多くの人の目に触れるようにもなりましたが、同時に気軽にアップできることから、まるでファッション雑誌の切り抜きのコラージュを自分の家族やペット写真を見てもらうがごとく(それだけ身近に感じてくれているのでしょうが…)「見て見て〜!」と公開しているのが現状です。
最近では動画投稿サイトも厳しくなってきている、とのことですがそれでも検索すると数限りないAMVが検出されます。
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| ■ AMVとコンベンション |
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AMVが盛んになった背景にはコンベンションとのつながりもあります。90年代、アニメクラブの上映会やアニメコンベンションでもパネルとパネルの間の空き時間や開始までの待ち時間に、参加者が飽きないよう正規のプロモーションビデオをプロジェクターにかけるときもありましたが、まだ本数も少なかったため、AMVを上映することも多々ありました。
次第にAMVは個人で親しい仲間内で楽しむ、という形から、より多くの人に見てもらう、というものに変化していったのです。そしていい出来のAMVは注目を集めるようになり、そうしたものを集めて「優秀作品」を賞するコンテストを催すようになったのです。
今ではAMVコンテスト応募作があまりにも多いため、コンベンションによってはAMV専用の上映ルームを設置しているところもあるほどです。コスプレと同様にAMVもコンベンションでは人気の高いアトラクションのひとつとなっています。
こうして、AMVをつくるファンの人たちも目的が「自分の“AMV作品”をより多くの人に見てもらう」になっていきました。
ここで一言:Iron Editor:
AMVって普通は自宅作業なわけですが、コンベンションの中にはイベントとして”Iron Editor“なるものを催すところもあるようです。このIron Editor、日本のテレビ番組「料理の鉄人」(Iron Chef)をなぞって名付けられたようですが、内容も同じくインスパイアされています。
大抵二人のAMV編集者(editor)がテーマに沿って時間内にAMVを聴衆の前で制作するというもの。完成した物を吟味して、勝者を決めるというコンペティションです。
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| ■ AMVの著作権問題について |
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それでも著作物は著作物。いかに優れた編集技術であろうと、本来、著作物は勝手にいじって一般に公開していいものではありません。
AMVでは、使用される映像と楽曲の2つで制作者/権利保持者が意図した使い方をされていないわけですから、著作権侵害が起こりうるはずです。
ただ、ファンサブ問題と根本的に異なるのは、コンテンツを丸々使用したものではないということ。ここがいわゆるグレイゾーン、AMVの難しいところなのです。
さらにアメリカにはフェアユース(公正使用)(*2)という概念があります。おおざっぱに言うと、例え無許可で著作物を使用しても、それによって(常識の範囲内で)誰も損をすることがないようであれば著作権侵害としない、という考え方です。
インターネットが生活の一部となった現代社会では、このフェアユースという概念は莫大な経済効果をもたらすとされています。なぜなら、私たちが日常何気なく使っているYahoo!やGoogleなどの検索エンジンは概ねこのフェアユースの範疇内であるとされるからです。
ブログやホームページなどは当然のことながら製作者に著作権があります。それを検索エンジンは検索結果として自らのページに引っ張ってくるわけで、これがフェアユース(公正使用)にあたるわけです。
AMVも著作物であるアニメの映像から引っ張ってきたものをコラージュしています。この使用だと、果たしてAMVはフェアユースの範囲内にあるのでしょうか?
AMV擁護派はフェアユースに該当するとしています。
…と、ここまで語った上で、この著作権的グレイゾーンやフェアユースに関しては筆者が語るよりも、知財の専
門家の方にお願いした方がいいかと思います。
ここはもう、皆さんお馴染みの@シアトル先生にズバリ斬っていただくしかないかも!(←他力本願)
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では、その2に続きます! アメリカのパロディ文化
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